専業主婦で「へそくり」を貯めています。離婚することになった場合、このへそくりも財産分与の対象になるのでしょうか?
配信日: 2025.02.13

しかし、実はへそくりは、離婚時の財産分与では夫と分け合わなければならない可能性が高いのです。本記事では、財産分与の性質や金額の決め方、対象となる財産・ならない財産などの情報を整理します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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離婚時の「財産分与」とは
離婚をしたときに発生する「財産分与」とは、離婚当事者である(元)夫婦の片方が、他方に財産を分割して渡すように請求できる制度をいいます。財産分与の主な目的は、婚姻期間中に形成した財産を公平に分配することです。また、離婚後の生活の経済的な保障や、離婚の原因を作ったことに対する損害賠償の性質もあるとされています。
財産分与の金額は、生活保障や損害賠償などの事情も考慮しながら、基本的には当事者間で協議をして決めるものです。協議によって決められない場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てて決めることになります。家庭裁判所の審判では、共働きでも一方が専業主婦(夫)の場合でも、夫婦の財産を2等分するように命じられるケースが多いようです。
財産分与について協議や請求をするタイミングは、離婚前、離婚後のどちらでもかまいません。ただし、離婚から2年経過すると家庭裁判所への申し立てはできなくなります。
へそくりは財産分与の対象になる
財産分与の対象となるのは、夫婦の協力によって形成された全ての財産です。夫婦それぞれの名義の財産でも、夫婦が共同で築いた財産であれば、財産分与の対象となります。
例えば、婚姻中に購入した夫名義の不動産がある場合、妻が家事などを負担して夫が購入費用を稼ぐのを支えていた場合は、実質的には夫婦の財産と見なして財産分与の対象に含めるのが一般的です。また、表題の「へそくり」に関しては、婚姻期間中に貯蓄した夫婦共同の財産という扱いになり、こちらも財産分与の対象になります。
へそくりの存在を隠して財産分与の協議をし、離婚後にへそくりの存在がバレた場合には、改めてへそくりの全額を財産分与の割合に応じて分けることとなります。無用なトラブルを避けるために、協議の際にはへそくりの存在を隠さないようにしましょう。
反対に、一般的に財産分与から除外されるのは、婚姻前から所有していた財産や、夫婦が個別の事情で贈与や相続を受けた財産などです。ただし、それらの財産の維持管理に夫婦の他方が明らかに貢献しているようなケースでは、財産分与の対象になることもあります。
専業主婦が知っておきたい厚生年金の「年金分割」
専業主婦のへそくりは離婚時に夫と分ける必要があると知り、がっかりした人が多いのではないでしょうか。しかし専業主婦には、請求すると夫から将来の厚生年金を分けてもらえる「年金分割(3号分割)」の権利があります。
年金の3号分割制度とは、婚姻期間中(平成20年4月1日以後)に第3号被保険者期間があり、その間に配偶者の厚生年金加入期間がある人が使える制度です。第3号被保険者であった人が請求することで、婚姻期間中の相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ分割できます。
3号分割できる年金は婚姻期間中の厚生年金のみであるため、全ての年金額の半分がもらえるのではない点には注意が必要ですが、相手方の同意を得ることなく一方的に請求できるというメリットもあります。離婚時に見落としがちな財産分与の対象として、覚えておくとよいでしょう。
財産分与のトラブルを防ぐために対象になる財産の範囲を知っておこう
離婚時の財産分与は、婚姻期間中に夫婦共同で形成した財産の全てを対象として、夫婦で話し合って内容を決めるのが原則です。家計のやりくりを頑張ってこっそり貯めたへそくりであっても、例外ではありません。財産分与の性質や対象となる財産、ならない財産を知っておき、離婚をすることになった場合にトラブルを招かないようにしましょう。
出典
法務省 財産分与
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー