難しい病気で大学病院にかかる必要があり、かかりつけのクリニックで「紹介状」を受け取りました。内容が気になり開封してしまったのですが、開封済みの紹介状は「無効」でしょうか…?
そうした際に、医師に作成してもらった紹介状の内容が気になる、という方もいるのではないでしょうか。基本的に封がしてある紹介状ですが、勝手に開封するのは避けるべき行動だそうです。
本記事では、紹介状を開封することで生じるリスクについてまとめました。紹介状の概要や役割、診療情報提供料についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
紹介状はスムーズで適切な受診のために必要
そもそも、紹介状は医師がほかの医療機関に患者を紹介する際に、診療に必要な情報を提供するために作成される文書です。正式には診療情報提供書と呼ばれ、紹介状には患者の基本情報・医学的情報・紹介理由などが詳しく書かれています。そのため、紹介先の医療機関は紹介状を見るだけで、スムーズに患者を受け入れることが可能です。
紹介状があれば、病院が変わるたびに基本情報を説明したり、同様の検査を受けたりする手間が省けます。患者にとって最良の医療サービスを提供するために、紹介状は大切な役割を果たしているのです。
医師から預かった紹介状は勝手に開封すると、内容の信頼性が下がってしまう
紹介状の宛先はほかの医療機関の医師なので、患者が勝手に開封するのは控えた方がいいようです。医師から預かった紹介状を勝手に開封してしまうと、内容の信頼性が大きく下がってしまうといわれています。
さらに、紹介状は特定の差出人から特定の受取人に宛てられた信書であり、許可なく患者が開封した時点で信書開封罪が成立するおそれもあるのです。
信書開封罪は刑法第133条に「正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。 」と定められています。ただし、親告罪に該当するため、被害者からの告訴がなければ起訴はされないでしょう。
このように、医師に渡す前に紹介状を開封するのはリスクの高い行為です。医師との信頼関係が開封により損なわれ、患者自身の今後の治療に影響するケースも想定されます。もし、紹介状の内容が気になる場合には、勝手に開封はせずに医師に直接確認しましょう。
紹介状は「開封無効」としている医療機関もある
紹介状は、改ざんを防止して記載内容に責任を持つために、封がされています。そのため、紹介状は開封無効としている医療機関も少なくありません。
ある病院では、初めて受診される方は医師の紹介状(開封無効)の持参を条件として明記しています。同様の条件を明言している医療機関は数多くあり、紹介状の取り扱いには注意が必要です。
また、開封無効と明記されていなかったとしても、医師からの信頼を裏切ることになるので、紹介状は勝手に開封しないようにしましょう。
かかりつけ医に紹介状を作成してもらうと「診療情報提供料」として「2500円」がかかる
かかりつけ医に紹介状を作成してもらうと、診療情報提供料として2500円が必要です。この金額は厚生労働省の医科診療報酬点数表に定められており、通常の紹介状の場合であれば診療情報提供料(1) は250点(1点は10円)と記載されています。
ただし、通常は健康保険が適用されるので、自己負担としては3割の750円の支払いで済みます。もし、誤って紹介状を開封した場合には再発行が必要になり、余計な出費が増える可能性もあるので注意しましょう。
まとめ
医師から預かった紹介状は、紹介先の病院に対して作成されています。紹介状は基本的に改ざん防止のため封がされており、記載内容が気になったとしても勝手に開封するのは控えた方がいいでしょう。
もし、紹介状を開封してしまうと信書開封罪に該当する可能性もあり、紹介状の信頼性が損なわれてしまう可能性があります。また、医師との信頼関係にも問題が生じるおそれもあるため、紹介状の内容が気になる場合でも勝手に開封することは避けましょう。
出典
デジタル庁 e-GOV 法令検索 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百三十三条
厚生労働省 医科診療報酬点数表(103ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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