「源泉かけ流し」の温泉旅館に先日泊まりましたが、お湯があふれているようには見えませんでした。「かけ流し」とは常にお湯が流れ続けていることではないの?

配信日: 2025.02.15 更新日: 2025.09.26
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「源泉かけ流し」の温泉旅館に先日泊まりましたが、お湯があふれているようには見えませんでした。「かけ流し」とは常にお湯が流れ続けていることではないの?
日頃の疲れをとるために、温泉に行くのを楽しみにしている方もいるでしょう。しかし「源泉かけ流し」とうたっている温泉旅館に泊まった際に、お湯があふれているようには見えずに不思議に思った経験がある方もいるかもしれません。
 
そこで本記事では、温泉の定義を始めとして「源泉かけ流し」について解説します。
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温泉の定義

日本の温泉は「温泉法」という法律で定義が定められており、以下のどちらかを満たすものが温泉に該当します。
 

・地中から湧き出るときの温度が25度以上
・温泉法第2条別表に記載されている物質が、19種類のうち1つ以上規定値を満たしている

 
法律上は「温泉」のみが定義されていますが、実際にはさまざまな種類があります。
 
【天然温泉】
温泉法の温泉と定義は同じ。人工温泉などの温泉法で温泉に該当しないものと区別するために一般社団法人日本温泉協会が天然温泉表示制度を策定した。
 
【源泉100%・天然温泉100%】
湧き出た温泉に水道水・井戸水・ゆう水などを加えない、熱を加えて温めていない、お湯を再利用またはろ過させていない温泉。
 

浴槽のお湯の取り扱いについて

浴槽のお湯の取り扱いについては、「循環式」もしくは「かけ流し」に分類されることが一般的です。また、循環式には「循環ろ過式」と呼ばれる方式もあります。それぞれの特徴については、以下の通りです。
 
循環式:浴槽から出たお湯を再び浴槽に戻して再利用する方法で、お湯の量が減った場合には温泉以外の水源も注入できます。
 
循環ろ過式:循環式のなかでも、浴槽にお湯を戻す際にろ過器などを使用し、ゴミや汚れを取り除く方法です。
 
かけ流し:常に浴槽に新しいお湯を注いであふれさせ、あふれ出たお湯は再利用せず、新たに注入するお湯は温泉を利用する方法をいいます。
 
循環式浴槽は、湯温が安定し湯量が豊富な点が魅力ですが、衛生管理への配慮が必要です。したがって、源泉かけ流しにこだわる方には不向きかもしれません。施設の衛生管理方針を確認し、ご自身の好みに合った入浴施設を選びましょう。
 

温泉法では源泉かけ流しの定義はない

温泉法では、源泉かけ流しについての明確な定義は定められていません。しかし、かけ流しの温泉では前述した通り、常に新鮮なお湯が供給されています。
 
一般社団法人日本温泉協会によると、源泉かけ流しとは「浴槽に常時新湯を注入して溢流(オーバーフロー)させ、溢流した温泉を再び浴槽に戻して再利用しない『かけ流し』の状態で、注入する新湯については温泉を利用しなければなりません」とあります。
 
さらに、「単に『かけ流し』と謳うよりも自然の状態に近い印象を与える強調表示であるため、温泉へ加水することは出来ないことになっています」と記載されています。また、公正取引委員会の見解では、温泉の成分変化が少ない範囲での加温は可能とされおり、加温を実施する際はその状況と理由を明示する必要があります。
 
しかし、温泉地や施設によって独自に定義や基準を設けている場合もあるため、気になる人は確認してみましょう。
 

お湯があふれていないのに「源泉かけ流し」とうたっている場合

「源泉以外にもお湯を使用している」「かけ流し以外の方式」などの温泉で「源泉かけ流し」とうたっている場合には、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)違反とみなされる可能性があります。違反が認められた場合は、国による措置命令が出されたり、課徴金の支払い命令が出されたりするケースもあります。
 
景品表示法は、実際より商品をよく見せる表示により、消費者が質のよくない商品やサービスを買うことで被る不利益を防ぐために制定されています。水を加える、お湯を温める、ろ過式であるにも関わらず源泉100%や天然温泉100%と表示すると利用者の誤解を招くおそれがあるとして、適切な情報提供をすることが求められています。
 
ここで注意したいのは、お湯があふれていれば必ず「源泉かけ流し」であるかというと、そうでないケースもあるということです。新しい温泉やお湯が加えられている循環式であれば、「源泉かけ流し」ではなくてもお湯があふれていることもあります。
 
また、源泉かけ流しの温泉でも、浴槽の下部からお湯を捨てているためあふれないケースもあるようです。
 

源泉かけ流しを見分けるポイント

温泉好きの人のなかには、「料金の安い温泉はいい温泉」という考えを持つ人もいるでしょう。一概にそうとはいえませんが、利用料の安い温泉は、源泉かけ流しの確率が高いとされています。これは、源泉をそのままかけ流している施設では、お湯を沸かしたり循環させたりする必要がないため、低コストで運営できるからです。
 
源泉かけ流しかどうかを見分けるためには、次のポイントを意識してみましょう。
 

・湯の花が浮かんでいている
・湯口と浴槽の温度差がある
・お湯に塩素臭がしない
・浴槽内にお湯が噴出している箇所や強く吸っている場所がない
・低料金や無料で提供している施設が多い

 
湯の花は温泉成分が固まってできたもので、一見すると汚れに見えてしまうこともあるでしょう。お湯をろ過する循環式やろ過式では湯の花が少なく、循環やろ過をしていない源泉かけ流しでは湯の花が多いことが考えられます。
 
また、湯口から注がれた温泉が浴槽にたまるまでには確実に温度が下がるため、湯口と浴槽の温度差が5度以上あることが源泉かけ流しの目安となります。
 
なお、源泉かけ流しかどうかを完全に判断するには、施設の掲示を確認するのが最も確実です。温泉法により、「加水」「加温」「循環」「殺菌剤、入浴剤などの混入」をしている場合はその旨と理由を掲示しなければならないことになっています。
 

「源泉かけ流し」ではないのに「源泉かけ流し」とうたっている場合は景品表示法違反とみなされるおそれがある

温泉の利用形態は大きく分けて、循環式・ろ過式・かけ流しの3種類があります。温泉法では「源泉かけ流し」の定義については明確に定めていませんが、日本温泉協会のホームページには「『かけ流し』とは新しい源泉を常時浴槽に注ぎ続けてあふれさせる状態」とあります。
 
しかし、「源泉かけ流し」とうたっているにもかかわらずお湯が流れ続けていない場合には、景品表示法違反とみなされる可能性があります。景品表示法違反に該当する場合は、課徴金の支払い命令が出されるケースもあるようです。
 
ただし、施設によって独自にかけ流しを定義している場合もありますので、気になる方は直接施設に問い合わせてみるとよいでしょう。
 

出典

環境省 温泉の定義
一般社団法人日本温泉協会 温泉用語解説
環境省 温泉法の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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