中学生の子どもの夢は「年収500万円」だそうです。「少なすぎる」と思うのですが、かなえるためには大学に進学させるべきでしょうか?
例えば、ある学生の夢が年収500万円だったとします。世代ごとに価値観は分かれるでしょうが、この年収500万円という数字は、日本の好景気を知る親世代からすると、少なく感じるかもしれません。
そこで本記事では、年収500万円が現在の日本においてどのような立ち位置か、500万円を達成するには大学まで進学する必要があるのか、それらについて紹介してきます。
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高い? 安い?「年収500円」の理想と現実
年収500万円は、果たして高いのでしょうか、安いのでしょうか。国税庁の「令和4年 民間給与実態調査」によると、給与所得者数5078万人の平均給与は年458万円です。これはあくまで平均値で、中央値になると、これより下がるといわれています。
さらに、厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」の平均給与(実質)の推移によると、1992年の470万円が最も高く、それ以降は下降しています。昨今、賃上げが叫ばれていますが、このことから、年収500万円は高い部類の年収といえるでしょう。
かつての好景気を知る人からすると、この年収では物足りないかもしれませんが、中学生以降の社会に出ることへの意識が高まってく年代からすると、高年収といえるのかもしれません。
年収500万円を目指すには大学進学がおすすめ?
それでは、年収500万円を目指すにはどのような進路がよいのでしょうか。厚生労働省「令和5年基本構造基本統計調査」によると、学歴、性別、年齢階級別の賃金は図表1のような結果になっています。
図表1
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」
このグラフから、男性では高専・短大卒で月給44万円、女性では大学院卒で月給が56万円を超えることが分かります。これらを年収(月給×12ヶ月)で換算してみましょう。
・男性 高専・短大卒 44万円×12ヶ月=528万円
・女性 大学院卒 56万円×12ヶ月=672万円
このことから学歴で見ると、500万円を超える目安ラインになるでしょう。そのため、データ上では年収500万円を目指すうえで学歴のみで判断するのであれば、最低でも高専・短大へ進学すること、可能であれば大学を目指すこと、女性の場合は大学院卒を指標とするといえるかもしれません。
しかし、個人事業主として働くことや起業することも視野に入れるのであれば、この限りではないでしょう。年収500万円というものを逆算し、それに沿う道筋を立てれば学歴は関係ないともいえます。
個人事業主、企業して稼ぐのであれば、学歴に関係なく早く社会に出ることで、若いうちからスキルが身につくというアドバンテージがあります。
高卒や専門学校で平均給与、それ以下の給与しか受け取れない企業に入社しても、副業で稼ぐことや、管理職に出世し、マネジメントスキルを身につけて起業するなどの選択肢もあります。
ただし、個人事業主は収入が安定しない時期があることや、起業もリスクが大きい部分があるので堅実さは欠けるかもしれません。
まとめ
堅実に年収500万円を目指したいのであれば、大学もしくは大学院まで進学したほうがリスクは少なく達成できる可能性が高いといえるかもしれません。しかし、相応の進学費や本人の努力が必要です。
世の中を広く見ると、年収の高い方の学歴が必ずしも高いというわけではありませんから、各家庭の進学に充てられる資金や学生本人の適正も十分考慮して進路を決めるとよいでしょう。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態調査
厚生労働省 令和2年版 厚生労働白書 図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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