実家の母に「出産は早いほうがいい」と言われたけど、世帯年収350万円で経済面が不安です。「最近は児童手当もあるし、子育てはなんとかなる」とのことだけど、本当に大丈夫でしょうか…?
母から「出産は早いほうがいい」という意見を聞かされたものの、夫婦の世帯年収が350万円ほどで、本当に子育てができるのかと不安を感じる人もいるでしょう。親世代が経験してきた時代とは異なり、現在の物価や子育てにかかる費用は大きく変化しています。
本記事では、昔と今との物価の違いや子育て支援制度について解説しつつ、世帯年収350万円で子育てが可能かを考えてみます。
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親世代と現代の物価・子育て費用の比較
まず、親世代が子育てをしていた時代と現在の物価や教育費を比較してみましょう。総務省が公表している「品目別価格指数」をもとに、1993年と2023年の価格指数を比較すると、図表1のとおりです。
図表1
| 1993年 | 2023年 | 2023年対1993年 | |
|---|---|---|---|
| 食パン | 88.3 | 118.7 | 1.34倍 |
| カップ麺 | 85.6 | 119.7 | 1.40倍 |
| 小麦粉 | 77.8 | 125.8 | 1.62倍 |
| 魚介類 | 78.5 | 125.3 | 1.60倍 |
| 肉類 | 75.2 | 111.8 | 1.49倍 |
| 野菜・海藻 | 88.7 | 108.8 | 1.23倍 |
| 電気代 | 93.3 | 104.5 | 1.12倍 |
| ガス代 | 77.4 | 116 | 1.50倍 |
| 教育 | 93.2 | 102.1 | 1.10倍 |
| 雑誌 | 63.8 | 112.1 | 1.76倍 |
総務省統計局 消費者物価指数より筆者作成
このように、教育費含め多くの品目で価格がかなり高くなっていることが分かります。ちなみに、こちらの表では2020年の価格を「100」として表しています。特にここ数年での物価高騰の様子がみてとれるでしょう。
支援制度の活用
現在、政府や地方自治体による子育て支援制度が充実してきています。これらをうまく活用することで、子育ての経済的負担を軽減することが可能です。
例えば児童手当は現在、所得制限はなく、子どもが産まれてから18歳に達した後の最初の3月31日までの間であれば、月額で1万~3万円受給できます(金額は子どもの年齢や人数によって異なる)。
また、出産時には基本的には50万円が健康保険から支給されます。この金額で出産費用の大部分を賄うことが可能です。
さらに、現在は幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳までの全ての子どもたちの利用料が無料です。これらの制度によって、現在は年収が低くてもある程度の経済的支援が受けられると言えるでしょう。
子育て世帯の年収ってどれくらい? 350万円でも子育ては可能?
厚生労働省の「2023(令和5)年国民生活基盤調査の概況」によると、子どものいる世帯の平均年収は812万6000円、中央値は731万円です。そのため、世帯年収350万円は子育て世帯の年収水準としては少ないほうといえます。先述した通り、昨今の物価高もあるため、世帯年収350万円では経済的に楽に子育てをすることは難しいかもしれません。
とはいえ、子育てにかかる費用や、家賃などの生活費は家庭によって異なるため、一概に子育てには年収350万円以上は必要などといったことはありません。同調査でも子育て世帯で世帯年収が350万円以下の世帯も12.6%います。
世帯年収が350万円以下でも、生活費の見直しや児童手当の活用などにより、慎重に家計管理を行えば、子育ては不可能ではないでしょう。
まとめ
世帯年収350万円での子育てには不安がつきものですが、適切な支援制度の活用や家計管理を行うことで、現実的には決して子育てが不可能というわけではありません。
ただし、年収350万円は平均的な子育て親世代の収入よりもかなり少ない水準です。親世代のアドバイスを参考にしつつ、今の時代に合った計画を立て、より安心して子育てを始める準備を行いましょう。
出典
総務省統計局 消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数
厚生労働省 2023(令和5)年国民生活基盤調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
