子どもが「給付型奨学金」を検討していますが、支給額は貸与型より少ないのでしょうか?
今回は、独立行政法人日本学生支援機構が提供する奨学金を例に、貸与型と給付型の支給額を解説します。
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給付型の支給額
給付型奨学金の支給月額は、給付奨学生として採用されてから正規の卒業時期(修業年限の終期)まで、世帯の所得金額に基づく区分に応じて、学校の設置者(国公立・私立)及び通学形態(自宅通学・自宅外通学)により定まる規定額が、原則として毎月振り込まれるようです。
大学生の場合、第1区分~第4区分の支給月額は表1の通りです。
表1
| 学校の設置者 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
|---|---|---|
| 国公立 | (第1区分)7300円 (第2区分)9800円 (第3区分)1万9500円 (第4区分)2万9200円 |
(第1区分)1万6700円 (第2区分)2万2300円 (第3区分)4万4500円 (第4区分)6万6700円 |
| 私立 | (第1区分)9600円 (第2区分)1万2800円 (第3区分)2万5600円 (第4区分)3万8300円 |
(第1区分)1万9000円 (第2区分)2万5300円 (第3区分)5万600円 (第4区分)7万5800円 |
出典:独立行政法人日本学生支援機構「給付奨学金の支給額」を基に筆者作成
例えば「国公立×自宅通学」の場合、支給額は7300円・9800円・1万9500円・2万9200円のいずれかです。どの金額が適用されるかは、世帯の所得によって決まります。
なお、生活保護を受けている生計維持者と同居している場合は、自宅通学の支給額が増額される可能性があります。
貸与型の支給額
国内の大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人を対象とした貸与型の奨学金には、利子の付かない第一種奨学金と、利子の付く第二種奨学金、ほかにも、入学時の一時金として貸与する入学時特別増額貸与奨学金(利子付)があるようです。
大学生への貸与月額は、表2の通りです。
表2
| 学校の設置者 | 自宅通学 | 自宅外通学 | |
|---|---|---|---|
| 無利子 | 国公立 | 2万円、3万円、4万5000円 | 2万円、3万円、4万円、5万1000円 |
| 私立 | 2万円、3万円、4万円、5万4000円 | 2万円、3万円、4万円、5万円、6万4000円 | |
| 有利子 | 国公立・私立 | 2万円~12万円(1万円刻み) | |
※筆者作成
「無利子×国公立×自宅通学」の場合、支給額は2万円・3万円・4万5000円のいずれかです。金額は申込者が選択できます。
また、「無利子×自宅通学」「有利子」なら貸与型、「自宅外通学」なら給付型の方が上限額が高いことが分かります。ただし、給付型の支給額は、世帯の所得によって制限される点には留意してください。
奨学金を利用するためには、複数の基準を満たす必要がある
奨学金の利用には基準が設けられていることがあります。利用を検討する際は、基準に該当するかを確認しましょう。
例えば、同機構の給付型奨学金を進学前に申し込むためには、次の基準などを満たす必要があります。
家計基準
家計基準は、世帯の収入と資産に関する基準です。同機構によると、それぞれの内容は次の通りです。
●収入基準:申込者と生計維持者(原則は父母)の支給額算定基準額の合計が15万4500円未満
●資産基準:申込日時点の申込者と生計維持者の資産額の合計が2000万円未満(生計維持者が一人のときは1250万円未満)
このうち、収入基準の支給額算定基準額は、次の式で計算されます。
・課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)
※100円未満切り捨て
市民税を政令指定都市に納税している場合は、(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)に4分の3をかけた額で計算されます。
また、資産基準における資産には、次のものなどが該当します。
●現金やこれに準ずるもの(退職金含む。投資信託、投資資産として保有する金・銀等)
●預貯金(普通預金、定期預金)、有価証券(株式、国債、社債、地方債等)
●満期や解約により現金化した保険
学力基準
申込者の学力や学修意欲を問う基準は、学力基準と呼ばれます。学力基準を満たすためには、次のいずれかに該当する必要があります。
1.高等学校等における第1学年から申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。
2.将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、入学しようとする大学等における学修意欲を有することが、文書、面談等により確認できること。
なお、学修意欲は、面談やレポート提出などで確認が行われるようです。
貸与型/給付型のどちらが支給額が多いかは、通学形態や世帯の収入などで異なる
独立行政法人日本学生支援機構が大学生に提供する奨学金は、「無利子×自宅通学」「有利子」なら貸与型、「自宅外通学」なら給付型の方が、上限額が高いようです。ただし、給付型の支給額は世帯の所得によって決まるため、上限額を受給できるとは限りません。
また、奨学金の利用基準が設けられている場合もあります。具体的には、世帯の収入や資産、申込者の学力などに関する基準です。奨学金の利用を検討する際は、「利用するか」だけでなく「利用できるか」にも目を向けるといいでしょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構
給付奨学金の支給額 1.通常の課程
進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
進学前(予約採用)の給付奨学金の学力基準
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
