「ガソリン補助金が減る」と話題だけど、「自動車ユーザー」だけに補助金が出るなんて不公平!? 実は“間接的なメリット”もあるって本当? 補助金の概要とあわせて解説
配信日: 2025.02.20

一方で車を使っていない人にとっては補助金があろうとなかろうと変わらないと感じられるかもしれませんが、実際には影響を受ける可能性があるのです。本記事では、ガソリン補助金の概要と、補助金によって受けられる恩恵と影響について解説します。

執筆者:宇野源一(うの げんいち)
AFP
ガソリンの補助金ってなに?
そもそも政府が支給していたガソリンの補助金とはどのようなものか解説します。この補助金の正式名称は「燃料油価格激変緩和補助金」で、コロナ禍における各種経済対策が実施されたことに引き続き、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」等に基づき、2022年1月から実施されています。
原油価格高騰が国民の生活に大きな影響を与えないよう、ガソリン価格の上昇を抑える目的で、一定金額を政府が石油元売会社へ補助しています。
2025年2月9日現在の補助金額はガソリン1リットルあたり17.4円ですが、この補助金は2024年12月19日と2025年1月16日にそれぞれ5円ずつ、合計で10円減額されています。これにより、車に給油する際の負担が増えています。
車を使っていない人もいるのに、ガソリン補助金は不公平ではないの?
ガソリンの補助金は、車を所有したり借りたりして運転しているユーザーだけが受けられる恩恵と思われがちですが、それは間違いです。自動車、つまり運送について言えば世の中のありとあらゆる商品・サービスに影響しています。
例えば野菜を例にしてみると、収穫された野菜を農家から市場に運ぶ際に車を使います。また市場で野菜を仕入れてお店へ運ぶのにも車を使う必要があります。農家から市場、そしてお店へ運ぶのにガソリンや軽油を使っており、その運送費は野菜の価格に反映されているので間接的に補助金を受け取っていると解釈できますよね。
「私は車を持っていないから補助金を受けられなくて、不公平だ」とは言えないのではないでしょうか。
補助金がなくなったら、どうなるの?
もし、政府が高騰するガソリンに対して出しているガソリン補助金がなくなった場合、補助金がなくなった分が商品の価格に転嫁される可能性があります。
1リットルあたり17円程度だとしても、積み重なることで家計への負担が重くなる可能性があります。2025年2月3日に資源エネルギー庁が公表した、全国のレギュラーガソリンの店頭小売価格は1リットルあたり184.6円なので、補助金がなくなったら201.6円となります。10パーセント近く値上がりとなってしまうのです。
ガソリンにはガソリン税という税金が課せられており、燃料価格の高騰とともに「暫定税率」の話題がよく持ち上がります。暫定税率が撤廃されれば1リットルあたり約25円ガソリンが安くなるので、撤廃を望む声が日本自動車連盟(JAF)からも上がっています。
ガソリン価格は私たち一般消費者の家計に直結すると言っても過言ではありません。今後も注目していくテーマと言えるでしょう。
まとめ
車に不可欠のガソリンは、車の所有の有無にかかわらず、すべての国民や国民生活にとってなくてはならない存在といえます。そのガソリン価格が、ガソリン補助金の減額もあって上昇傾向にあります。
相場変動で価格が上がるのは致し方のないことではありますが、国民の生活費に直結する大きな問題です。特にガソリン税の暫定税率については、ガソリン価格が上がっている今こそ政府に積極的な議論をして欲しいものです。
出典
資源エネルギー庁 燃料油価格激変緩和補助金
資源エネルギー庁 石油製品価格調査
執筆者:宇野源一
AFP