病気の治療で「月3万円」の出費が! 最近「高額療養費制度」が見直されると聞いたけど、自己負担の限度額はどれだけ変わる?「年収400万円」のケースで解説

配信日: 2025.02.28

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病気の治療で「月3万円」の出費が! 最近「高額療養費制度」が見直されると聞いたけど、自己負担の限度額はどれだけ変わる?「年収400万円」のケースで解説
「高額療養費制度」とは、1ヶ月に支払った医療費が高額になったとき自己負担額を一定に抑える制度です。手術が必要な人や継続的に治療を受ける人など、医療費が高額になりやすい人の負担を抑える仕組みになっています。
 
ところが現在、高額療養費制度について政府で見直しが進んでいます。本記事では見直し案の概要を紹介し、年収400万円の人を例にどのような影響があるかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高額療養費制度の見直し案とは?

今回見直されているのは、高額療養費制度の自己負担限度額に関することです。病院や薬局の窓口などで支払う医療費の自己負担額には、1ヶ月あたりの限度額が設定されています。
 
自己負担限度額は、年齢や年収の額によって異なります。現行の限度額は、改正案でどれくらい引き上げられるのでしょうか? 図表1に示します(69歳以下の場合)。
 
図表1

所得区分 現行の自己負担限度額(1ヶ月) 改正案
年収約1160万円~ 25万2600円+
(1ヶ月の医療費-84万2000円)×1%
29万400円+
(1ヶ月の医療費-96万8000円)×1%
年収約770~約1160万円 16万7400円+
(1ヶ月の医療費-55万8000円)×1%
18万8400円+
(1ヶ月の医療費-62万8000円)×1%
年収約370~約770万円 8万100円+
(1ヶ月の医療費-26万7000円)×1%
8万8200円+
(1ヶ月の医療費-29万4000円)×1%
~年収約370万円 5万7600円 6万600円
住民税非課税者 3万5400円 3万6300円

厚生労働省 高額療養費制度の見直しについて より筆者作成
 
引き上げ率は異なるものの、全ての所得層で自己負担限度額が引き上げられる予定になっています。
 
さらに、見直し案では2026年8月と2027年8月にも段階的に限度額を引き上げる予定が盛り込まれています。現在の所得区分をより細かく分けて、所得の高い人ほど限度額が高くなる仕組みになる予定です。
 

年収400万円の人の自己負担限度額は見直し案でいくらになる?

見直し案の引き上げによって、具体的にどれくらいの影響があるでしょうか? ここでは69歳以下の現役世代で年収400万円の人の場合を考えてみましょう。
 
入院などによって1ヶ月の医療費が100万円、自己負担分は3割で30万円かかったとします。このとき、自己負担限度額は現行の制度と改正案で次のようになります。


・現行の制度:8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円
・改正案:8万8200円+(100万円-29万4000円)×1%=9万5260円

差額は7830円です。つまり改正案が予定通り施行されれば、2025年8月以降は1ヶ月あたり7830円、医療費の自己負担額が増えることになります。
 

1ヶ月の自己負担額が3万円なら特に影響なし

高額療養費制度改正によって負担が増えるのは確かですが、年収400万円で1ヶ月の自己負担額が3万円の場合は特に影響ありません。なぜなら、限度額よりも少ない金額だからです。
 
年収400万円の人で高額療養費制度が問題になるのは、1ヶ月の自己負担額が現行の制度で8万100円、改正案で8万8200円に達してからです。3万円であれば限度額以下ですので影響はないでしょう。
 

今後治療費が増えると影響が出る可能性も

高額療養費制度の見直し案では、自己負担限度額を段階的に引き上げることが検討されています。手術や入院などで高額な医療費を払っている人にとって、大きな負担増となるでしょう。
 
年収400万円の人が1ヶ月に3万円の治療費を払っても、限度額以内であるため影響はありません。しかし、今後新たに病気が見つかるなどで治療費が増えると、影響が出てくる可能性があります。
 
高額療養費制度の見直し案については、現在国会で議論されています。今後の行方を注視しましょう。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度の見直しについて
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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