近所のコインパーキングで、いまだに「新紙幣」が使えない! 理由は「アップデート」に時間がかかるから!? 新紙幣対応にかかるコストもあわせて解説
配信日: 2025.03.01 更新日: 2025.03.03

本記事では、機械での精算で新紙幣対応が進まない理由と解決策について解説します。

執筆者:古澤綾(ふるさわ あや)
FP2級
新紙幣対応にはどのくらいのコストがかかる?
新紙幣の導入に伴い、交通機関や自動販売機業界など多くの業界でこれまでの機械を新紙幣対応にアップデートしなければなりません。コインパーキングや自販機など、紙幣を識別する機械の多くは、紙幣のサイズやデザインをもとに、可視光と赤外線センサーで認識しています。
新紙幣に対応するためには、精算機などの機械をアップデートするか、新しい機械に交換する必要があります。交換やアップデートには、機械1台あたり約50万円から150万円の費用が相場のため、特に中小企業や個人経営者にとっては大きな負担となり得ます。
自販機やコインパーキングのように大量の機械を設置している業界では、対応がさらに遅れがちです。日本全国に設置されている自販機の台数は約400万台ともいわれており、全てを新紙幣対応にするには費用も時間もかかります。また、更新作業には技術者の派遣や機械の一時停止が必要なため、より手間がかかるのです。
キャッシュレス決済の導入も期待
新紙幣対応が遅れている背景には、企業がキャッシュレス決済の導入を進めているという現状もあります。日本では近年、クレジットカードや電子マネー、二次元コード決済などのキャッシュレス化が進んでいます。
キャッシュレス決済を導入すれば、紙幣識別機能が不要になるため、新紙幣対応を回避できるメリットがあります。実際に、コインパーキングや自動販売機でキャッシュレス決済対応箇所が増えてきました。
一方で、キャッシュレス決済を利用しない、あるいは利用できない人にとっては新紙幣が使えない不便さが残ります。
新紙幣が使えない可能性にどう備える?
新紙幣対応に時間がかかっているため、利用する私たちも対策しておくことが大切です。旧紙幣は引き続き使用可能な法定通貨として容易に入手できます。まずは、ATMからの引き出しやお釣りなどで旧紙幣を入手したときは、なるべく残しておくようにしましょう。
また、商店などでも旧紙幣を持っている場合があり、お釣りとして旧紙幣を受け取るようお願いするのも1つの手ですが、混雑時は遠慮するなどの配慮が大切です。
まとめ
新紙幣が発行されて久しいですが、まだまだ新紙幣が使えない精算機が多いのが現状です。その理由は、主に企業側にコストや手間の負担がかかり、対応が遅れてしまっていることです。さらに、企業が新紙幣対応よりも、キャッシュレス化を進めていることも原因の1つといえるでしょう。
そのため利用する側も、お釣りやATMなどで入手した旧紙幣を取っておくなどの工夫が必要です。新紙幣に完全対応するにはまだ時間がかかりそうですが、現金とキャッシュレスをうまく使い分けていきましょう。
出典
一般社団法人 日本自動販売システム機械工業会 自動販売機普及台数
執筆者:古澤綾
FP2級