引っ越し先の玄関に「NHK」と書かれた「古いシール」が……。これは「受信料」の支払い義務が生じるの?

配信日: 2025.03.04

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引っ越し先の玄関に「NHK」と書かれた「古いシール」が……。これは「受信料」の支払い義務が生じるの?
表札の近くに「NHK」と書かれたシールが貼ってある家を見たことがあるという方もいるでしょう。「引っ越し先に元から貼ってあったので、そのままにしている」「契約時に貼ってからずっと放置している」、そんな方も多いかもしれません。
 
今回は、「NHK」シールの意味や実際の契約状況との関係を解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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「NHK」と書かれたシールの正体は放送受信章

玄関ドアの外側、主に表札の近くに貼られている「NHK」と書かれたシールですが、正式名称は「放送受信章」というようです。
 
NHKによると、当時の日本放送協会放送受信規約において「住居の入り口等の外部からみやすいところに表示するもの」と規定されていたため、NHKを契約している家庭に配布されていたようです。職員はこのシールの有無で、NHKと契約しているかどうかを確認して契約収納活動を行っていたとされています。
 
しかし、2008年10月に放送受信規約が変更され、放送受信章はその時点で廃止になっています。
 

どうして放送受信章は廃止されたの?

それでは、なぜ放送受信章はなくなってしまったのでしょうか。廃止されてからは、どのようにして契約の有無を確認しているのかも併せて見ていきましょう。
 

放送受信章がなくても契約は確認できるから

デジタル化が進み、NHKの契約収納活動においても携帯端末が導入されたことで放送受信章は廃止になりました。現在は、携帯端末で放送受信契約の有無を確認しているようです。
 
特に返却の義務はなかったようなので、今でも貼ったままなのだと考えられます。
 

経費の削減のために

NHKによると、経費削減も放送受信章がなくなった理由の一つだとされています。
 
2008年の契約者数は約3800万世帯なので、仮に1枚10円でも、シール代だけで約3億8万円の経費がかかっていたことになります。引っ越しや新規契約のたびに配布されていれば、実際の配布数はもっと多かったかもしれません。
 

シールが貼られていても支払い義務は生じない

放送受信章は、過去にその住居で受信契約が結ばれていた証です。廃止になったとはいえ、本当に貼ってあるだけで支払い義務が生じたりはしないでしょうか。
 
また、どのような状況だとその義務が発生するのかも確認していきます。
 

契約の有無は自分で確認をする

現在は、放送受信章で契約の有無は確認しないため、シールが貼ってあるからといって支払い義務が生じることはないようです。
 
「自分が契約しているか分からない」「家族が契約していると思っているけど……」など、自分の契約状況がよく分かっていない方は、これを機にNHKに問い合わせて確認してみるのもよいでしょう。
 

放送を受信する機器があれば支払い義務が生じる

NHKは、シールの有無ではなく「放送を受信する機器」を設置していると支払い義務が生じるといわれています。NHKの番組を見ているか見ていないかは関係なく、機器を設置している場合はNHKの契約をしなければいけません。
 
また、家にテレビがなくても、ワンセグ機能が搭載されたスマートフォンや、カーナビを所持している方には支払い義務が生じるようです。
 
2023年4月から、「不正な手段により受信料の支払いを免れた場合」と「正当な理由がなく期限までに受信契約の申し込みをしなかった場合」は、通常の受信料に加えて2倍の額を割増金として支払わなければならないという「割増金制度」が始まりました。
 
表1は、2025年1月現在のNHKの受信料(月額)です。東京都の地上契約で計算した場合、本来の月額1100円に加えて2倍の2200円が割増金として加算されるため、2023年4月以降に契約ができていなかった期間は、1ヶ月当たり3300円支払わなければなりません。
 
表1

契約種別 沖縄県以外(月額) 沖縄県(月額)
衛星契約(衛星+地上) 1950円 1815円
地上契約(地上のみ) 1100円 965円

※日本放送協会「大切なお知らせ」より筆者作成
 

玄関の「NHK」シールははがしても問題ない

玄関に貼ってあるNHKのシールは、すでに意味のないものだと分かりました。NHKでは、シールではなく携帯端末で放送受信契約の有無が確認できているため、現在はシールをはがしてしまっても問題ないようです。ただし、自宅にNHK放送を受信する機器がある方は、後から割増金を支払わないためにも、きちんと契約しておきましょう。
 

出典

NHK 放送受信章をなぜ廃止したのか
NHK 大切なお知らせ
NHK 受信料の割増金制度について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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