公営住宅に住んでいますが、4月から夫の給料が大幅にアップします…。高所得になると退去しないといけないのでしょうか?

配信日: 2025.03.05

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公営住宅に住んでいますが、4月から夫の給料が大幅にアップします…。高所得になると退去しないといけないのでしょうか?
公営住宅は、収入などの条件を満たした方のために、低家賃で提供されている公的賃貸住宅です。条件を満たして抽選に当たれば住むことができますが、仮に入居中に収入の条件を上回った場合、すぐに退去しなければならないのでしょうか。
 
今回は、高所得になった場合、公営住宅に住み続けられるのかについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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公営住宅や市営住宅の入居条件に収入基準がある?

公営住宅や市営住宅などの入居条件には、収入の基準も含まれます。
 
国土交通省が公表している「公営住宅制度について」によると、収入は月収15万8000円が基準です。また、特別な事情がある場合などは最大25万9000円まで引き上げられます。具体的な月収条件は各自治体などで異なり、入居者の心身状況や世帯構成、住居の安定が必要だと判断された場合などは基準の設定が引き上げられる傾向があります。
 
例えば、川崎市住宅供給公社によると、市営住宅の申込資格のうち、収入は普通世帯で15万8000円以下、特認世帯で21万4000円以下です。特認世帯とは、以下のような世帯です。

●高齢者世帯:申込者が60歳以上(同居者がいる場合は同居者が18歳未満か60歳以上)
●心身障害者世帯:身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・知的障害などに該当する方がいる
●義務教育終了前の子がいる世帯

もちろん、収入条件以外にも年齢や現在の居住状況などが条件にあるため、月収が15万8000円だからといって、必ずしも公営住宅に入居できるとは限りません。
 

住んでいる間に年収が条件を超えた場合の退去は強制か

公営住宅に住みながら働いている場合、課長への昇格や所得者の増加により世帯年収が増加するケースもあります。収入が超えつつ入居している場合、「収入超過者」「高額所得者」に分類され、国土交通省の資料によるとそれぞれの対象者や退去の有無に関しては表1の通りです。
 
表1

対象者 退去の有無について 家賃について
収入超過者 3年以上入居し、入居収入基準を超える収入がある方 明渡努力義務が発生 家賃が少し上がる可能性がある
高額所得者 5年以上入居かつ直近2年間の月収が31万3000円を超える方 地方公共団体から明渡請求がくる可能性 付近の住宅と同等の家賃が適用される

出典:国土交通省住宅局住宅総合整備課「公営住宅制度について」を基に筆者作成
 
収入超過者の場合は、明け渡し努力義務のため、必ずしも退去しなければならないわけではありません。しかし、明け渡さなくていいというわけではなく、なるべく早めに退去する努力が必要です。
 
また、高額所得者になった場合は、強制退去になる可能性があるようです。もし退去しない場合は、2倍の家賃が請求されたり訴訟を起こされたりするリスクがあります。
 
高額所得者認定後に万が一所得がなくなった場合や病気などにより就業が困難になった場合は撤回もできますが、特別な事情がない場合は明け渡し請求がくる前に速やかに退去した方がいいでしょう。
 

住んでいる間に年収が増えた場合の対処法

公営住宅の収入条件を超過し、退去しなければならない場合、公的賃貸住宅の利用を検討するといいでしょう。公的賃貸住宅は、以下のような種類があります。

●公社賃貸住宅:住宅供給公社が所有する賃貸住宅。礼金や仲介手数料が発生しない。
●セーフティネット住宅:住宅確保要配慮者(高齢者や被災者など)の入居を拒まない賃貸住宅
●UR賃貸住宅:独立行政法人都市再生機構が管理する賃貸住宅。物件数が多い点が特徴。

これらの住居にも収入条件が設けられていますが、公営住宅と比較すると満たしやすい条件でしょう。また、公営住宅ほど家賃をおさえられるとは限りませんが、一般的なマンションやアパートに住むよりも費用はおさえられる可能性があります。
 
公営住宅を退去しなければならない場合、公的賃貸住宅が条件に該当しないか確かめてみてください。
 

高額所得者になると退去しないといけない! 公営住宅以外の公的賃貸住宅を活用するといい

公営住宅は厳しい収入条件が設けられています。そのため、住んでいる間に収入が増えて、高額所得者に該当した場合は、退去しなければならない可能性が高いでしょう。
 
退去しない場合、家賃の2倍の請求や訴訟を起こされるリスクがともなうため、高額所得者になる前に物件などを探しておくことをおすすめします。
 
もし、費用をおさえながら公営住宅以外に住む場合は、公的賃貸住宅の活用がおすすめです。公的賃貸住宅にも複数の種類があり、月収の条件は「◯円未満」ではなく、「家賃の◯倍以上」などです。そのため、収入がある場合は、公的賃貸住宅の方が条件に当てはまりやすく、一般的な住居よりも費用をおさえられます。
 
公営住宅以外にも家賃や入居費用をおさえて住む方法があるため、収入が増えたからといって焦る必要はないでしょう。
 

出典

厚生労働省住宅局総合整備課 公営住宅制度について(2ページ)
川崎市住宅供給公社 申込資格 市営住宅
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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