上司とバーに行ったら、ウイスキー「1杯2500円」でビックリ! 1杯500円くらいのはずだけど「原価率」も考えると妥当なの? バーでウイスキーを飲むメリットも解説
配信日: 2025.03.08

普段家でお酒を飲む人にとって、バーの価格設定には驚くこともあるのではないでしょうか。実際に酒屋でボトルを買えば、1杯あたり500円程度で楽しめるウイスキーが、バーでオーダーすると数倍の価格になることもあるようです。
しかし、バーには高価格でも通い続けるファンがいます。一体、何が彼らをひきつけているのでしょうか?
その理由を探るために、今回は高級シングルモルトのスコッチウイスキー「ザ・マッカラン」を例にとり、バーの価格設定の仕組み、ウイスキーをバーで飲む理由、そしてバーでしか味わえない魅力について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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マッカラン1杯の原価と提供価格は?
では、人気が高いマッカラン12年を例に、価格を計算してみましょう。
マッカラン12年(700ミリリットル)のボトルを1万2000円で仕入れた場合、1ショット(30ミリリットル)あたり約23杯取れるため、単純計算で1杯の原価は約522円です。
バーの営業を続けるには一定の利益を確保する必要があるため、原価に人件費などの経費を上乗せして提供されます。飲食店の原価率はおよそ30%前後が目安といわれているため、ウイスキーの原価率を30%に設定した場合、適正な提供価格は約1740円と試算できます。
実際には、店の雰囲気や立地、提供スタイルによって価格は変動するため、マッカラン12年の1ショットが1500~3000円で提供されることは一般的と言えるのではないでしょうか。
バーで出されるウイスキー価格の相場とは?
バーで提供されるウイスキーの価格は、原価に一定の利益を乗せるだけではなく、お店の運営方針や提供スタイルによって決まります。飲食店では原価率30%前後を目安に価格設定を行うことは前記の通りですが、全ての商品に同じ基準が適用されているわけではありません。
例えば、定番の低価格帯のウイスキーは原価率を20%程度に抑え、高級ウイスキーは原価率を40%に設定するなど、商品ごとに異なる利益率を設けているケースもあるようです。
こうした調整により、バーは全体の収益バランスを維持しながら利益を確保しているのです。
また、バーは単にお酒を提供する場所ではなく、落ち着いた空間や接客も含めた体験を提供する場でもあります。そのため、店舗によっては立地や雰囲気に応じた最低価格を設けている場合もあり、特に高級バーであればウイスキー1杯の価格を一律2000円以上で設定していることも珍しくありません。
バーでウイスキーを飲む人の心理
一見、コスパが悪く見えるバーですが、訪れる人が求めているのは、雰囲気や特別な体験であり、単にお酒を飲むことだけが目的ではないのかもしれません。
例えば、ウイスキーは氷の質やグラスの選び方で味わいが変わります。バーによってはクリアな丸氷を使い、溶けにくくすることで、最後まで味を楽しめるよう工夫している店舗もあります。また、バーテンダーが最適な温度や飲み方を提案してくれるため、自宅で飲むのとは違った楽しみ方を知る機会にもなります。
さらに、静かな空間で落ち着いて飲むことや、バーテンダーと会話を楽しむことを求めてバーを訪れる人もいます。こうした特別な体験がバーならではの魅力を生み出し、長年通い続ける常連客がいる理由にもなっているのです。
まとめ
ウイスキーは、ストレートやロック、水割り、ハイボールなど、さまざまな飲み方ができるお酒です。
しかし、どのスタイルで提供する場合でも、ウイスキー自体の原価は一定であり、原価率を大きく変えにくい商品ともいえるでしょう。そのため、バーでは価格差を生み出すために、そこでしか味わえないような店独自の空間やサービスを提供するなどの工夫をしています。
また、料飲店限定で販売されるウイスキーが存在し、バーでしか飲めない銘柄もあります。こうした要素があるからこそ、バーにはコスパだけでは測れない価格以上の魅力があるのではないでしょうか。
出典
金融庁 『業種別支援の着眼点』2023(令和5)年3月 飲食業
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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