カフェで席に「ハンカチ」を置いて注文へ→戻ってきたら「忘れ物かと思った」とハンカチをよけられ、別の人が座ってた! この場合、自分が座ることはできる? 盗難リスクについても解説
配信日: 2025.03.11

本記事では、私物を置いて確保していた席を取られた場合、席に座る権利は誰にあるのかを解説します。興味を持った人は参考にしてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
私物を置く席取りは法的にも有効
結論としては、私物を用いた席取りは法的にも有効です。正確には、占有権を取得したと評価できる場合に認めてもらえます。
占有権とは、自己のために物を所持する状態を保護する権利のことです。占有権は「自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する」と民法180条で定められています。
条文の「所持」は、物に対する事実上の支配を指しますが、事実上の支配の有無は、基本的に社会通念、つまり常識によって決定されます。
日本において、店舗側が席取りを明確に禁止しているケースを除いて、私物を置いて席を確保することはごく一般的です。そのため、法的にも有効と判断してもらえる可能性があります。
私物を勝手に動かされたあげく、席を横取りされたらどうすればいい?
私物を置いて席を確保するのは、法的にも有効でしょう。そもそも、勝手に私物を動かすのも、所有者の権利を侵害したととられかねない行為です。
しかし、権利を主張して自力で取り返す行為は自力救済、つまり違法行為と判断されてしまいます。
民法200条では、「占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる」と定められていますが、席を取り返すために裁判を起こすのは、現実的な案とは言い難いです。
そのため、席を取り返したい場合は、店員に仲裁してもらいながら権利を主張するのがベストでしょう。
席を確保するために置いていた私物が盗まれたら?
今回は席に置いたものを「よけられた」とのことですが、席を取るために私物を置いたとして、それを盗まれる可能性もゼロではありません。
私物を置いて席を確保する文化は日本特有のものであり、海外では日本の治安のよさを象徴する光景として紹介されます。しかし、まったく窃盗の被害に遭うリスクが存在しないわけではありません。
席取りのために置いていた私物を盗まれた場合であっても、店舗側が来店客の私物を管理する責任はないため、損害賠償を店舗側に請求することは困難です。
ただし、店内でたびたび窃盗が発生しているにもかかわらず、店舗側が窃盗の対策を何も施していない場合は、管理体制に問題があると判断され、責任を追及できる可能性があります。
いずれにせよ、私物を置いて席を確保する際は窃盗のリスクも考慮し、貴重品だけはしっかり身につけておくようにしましょう。
座る権利はあるものの、確実に席を確保できるとは限らない
以上、席取りにまつわる話題について取り上げてきました。私物を用いた席取りは法的にも有効と考えられますが、その際に席を横取りされてしまっても、確実に取り返せるとは限りません。
ハンカチをよける行為は善意だったのかもしれませんが、私物を置いて席を確保するというのは暗黙のルールでもあります。常識は人それぞれではありますが、席に座っている人に事情を伝えてみるのもよいでしょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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