下り坂で「ニュートラル」にすると「燃費」がよくなるって本当? 何か「リスク」がともなうことはない?
配信日: 2025.03.12

そこで今回は、下り坂でのギアによる燃費の状況や、ニュートラルによる走行の危険性について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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下り坂を「ニュートラル」で走行すると燃費がよくなる?
「下り坂をニュートラルで走行すると燃費がよくなる」という話は、正しくないようです。
車は、AT車はDレンジ、MT車は「トップギア」や「セカンドギア」など、ニュートラル以外のギアに入れて走行します。走行中にアクセルから足を離すと、燃料カットの制御がかかり燃料の噴射が止まる仕組みになっているようです。
そのため、Dレンジやニュートラル以外のギアでアクセルを踏まずに坂を下ると、燃料を消費せずに走行できる可能性があります。
一方で、ニュートラルの状態では、アイドリング時のエンジンの回転数を保とうとするため、その回転数が下回りそうになると燃料を噴射するとされているようです。ニュートラルで下り坂を走行すると燃料を消費する可能性があるため、通常のDレンジやニュートラル以外のギアで走行するケースよりも燃費が悪くなるおそれがあります。
近年、ガソリン価格の上昇傾向により、燃費を気にする方も増えていると考えられます。例えば、経済産業省資源エネルギー庁によると、10年前の2015年2月16日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの金額は135.4円でした。しかし、現在は184.4円(2025年2月17日時点)となっており、10年で50円程度値上がりしています。
フットブレーキに頼りすぎるとブレーキの利きに影響が出る可能性がある
ニュートラルで走行すると、エンジンブレーキではなくフットブレーキを多用することになり、以下のような現象が起きる可能性があります。
●フェード現象
●ベーパーロック現象
フェード現象とは、ブレーキパッドから発生するガスによってブレーキの利きを悪くする現象とされているようです。フットブレーキを使いすぎると、摩擦材が高熱となりガスが発生します。ガスの発生により摩擦抵抗力が下がると、フェード現象を引き起こしかねません。
ベーパーロック現象とは、ブレーキ液から発生する気泡が原因となりブレーキの利きを悪くする現象とされています。フットブレーキの使いすぎによりブレーキ液が沸騰して気泡を発生させてしまい、その気泡が邪魔をしてブレーキの摩擦力を無力化するようです。
フットブレーキに頼るとこのような現象が起こりやすくなり、事故を引き起こす原因となる場合があります。速度の出やすい下り坂では、エンジンブレーキを活用したブレーキングが求められるでしょう。
下り坂でニュートラルにすると、燃費がよくなる可能性は低い
ニュートラルに入った状態では、アイドリング時のエンジンの回転数を維持するために燃料を噴射する可能性があります。一方で、Dレンジやニュートラル以外のギアに入れている状態でアクセルから足を離すと、燃料の噴射がストップするとされています。
そのため、下り坂でニュートラルにすると燃費がよくなる可能性は低いと考えられるでしょう。
また、ニュートラルの状態ではエンジンブレーキが利かず、フットブレーキに頼った運転になることが予想されます。このような状態では、フェード現象やベーパーロック現象を起こし、ブレーキが利かなくなる可能性があります。
スピードが出やすい下り坂では大変危険なため、ニュートラルでの走行はやめましょう。
出典
経済産業省資源エネルギー庁 石油製品価格調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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