“世帯年収350万円”なら「高等学校等就学支援金」をいくら受け取れる?世帯年収いくらまでなら支給されるの?
配信日: 2025.03.15

いくら支給されるかは保護者の所得によって異なるため、自分の家庭の場合はいくら受け取れるのか知りたいという人もいるでしょう。
本記事では、高等学校等就学支援金について対象となる条件などを詳しくご紹介するとともに、世帯収入350万円の場合はいくら受け取れるのかを計算してみます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高等学校等就学支援金とは?
高等学校等就学支援金制度とは、返還不要の授業料支援を受けられる、国による制度のことです。家庭における教育費の負担軽減と、子どもに対する教育の機会均等に寄与することを目的としています。
支援金は生徒本人や保護者が直接受け取るものではありません。学校が受け取り、対象生徒の授業料に充てることになります。実際にかかる授業料が就学支援金より高い場合は、その差額を生徒および保護者が支払わなければなりません。
全日制の高等学校の場合、公立・私立ともに支給期間の上限は36ヶ月なので、3年を超えて在籍する場合は休学による支給停止期間がなければ4年目以降は支給されません。支給限度額については以下のようになっています。
【公立高校】
・全日制:月額9900円
・定時制:月額2700円
・通信制:月額520円
【私立高校】
・全日制・定時制・通信制ともに月額9900円
ただし年収目安590万円未満の場合は、月額最大2万3100円の加算あり
世帯年収350万円の支給額は?
高等学校等就学支援金は「保護者の課税標準額×6%-調整控除額」で計算される基準額がベースとなり、所得制限を満たしているかどうかが判断されます。計算された基準額により、支給される就学支援金の金額が以下のように決定します。
【基準額が15万4500円未満(年収目安590万円未満)の場合】
・公立高校:年間11万8800円(月額9900円)
・私立高校:年間39万6000円(月額3万3000円)
【基準額が15万4500円以上30万4200円未満(年収目安910万円未満)の場合】
・公立高校:年間11万8800円(月額9900円)
・私立高校:年間11万8800円(月額9900円)
そのため、今回の事例の「世帯年収350万円」という家庭では、公立高校の場合は月額9900円、私立高校の場合は月額3万3000円の支給を受けられる可能性があります。
ただし、上記はあくまでも目安であり、実際には「課税標準額」を基に計算されます。課税標準額とは、住民税(市町村民税・県民税)を計算するうえで基礎となる数値です。総所得金額から以下の所得控除などを引いたものが課税標準額となります。
・雑損控除
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
そのため、同じ年収でも世帯によって金額が異なる点に注意が必要です。
課税標準額は、住民税の特別徴収税額決定通知書や課税証明書に記載されているので、確認してみましょう。「調整控除額」は課税証明書から確認できますが、一部の自治体では特別徴収税額決定通知書に記載されていないこともあるため注意が必要です。
高等学校等就学支援金の所得制限は撤廃される見込み
高等学校等就学支援金については、新年度予算案の修正が検討されており、2025年4月以降は段階的に所得制限が撤廃される見込みです。具体的には、2025年4月と2026年4月の2度にわたって、以下の内容に変更となるようです。
・2025年4月から、公立、私立高校ともに年間11万8800円にかかる支援金の所得制限が撤廃される(従来は年収目安910万円未満)
・2026年4月から、私立高校は支援金の上限額の所得制限が撤廃され(従来は年収目安590万円未満)、上限額を45万7000円に引き上げる
上記については、自民党・公明党・日本維新の会の3党が合意しており、予算案が提出された場合は成立する見込みとなっています。
高等学校等就学支援金制度の対象となる条件
高等学校等就学支援金の支給対象になるためには「年収910万円未満」の所得要件をクリアしていること以外にも、以下の学校に在籍していることが条件になります。
・国公私立の高等学校(全日制・定時制・通信制)
・中等教育学校後期課程
・特別支援学校の高等部
・高等専門学校(1~3学年)
・専修学校(高等課程)
・専修学校の一般課程や各種学校のうち国家資格者養成課程に指定されている学校
・各種学校のうち一定の要件を満たす外国人学校(告示で指定)
ただし、専攻科・別科の生徒、科目履修生、聴講生などは対象にならないので注意が必要です。
「世帯年収350万円」だと公立高校なら月額9900円、私立高校なら月額3万3000円の支援金を受けられる|制度の対象となるのは年収910万円未満の世帯
家庭における教育費の負担軽減などを目的に、高等学校等に通う子どもがいて世帯年収が910万円未満の家庭は、高等学校等就学支援金の支給対象になります。
世帯年収が350万円の場合だと、公立高校なら月額9900円、私立高校なら月額3万3000円の支援金が支給され、授業料に充てられるため、教育費の負担を大幅に軽減することが可能になるでしょう。
対象になるためには所得要件と在学要件を満たしている必要があるため、詳しく確認しておくことをおすすめします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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