「高額療養費制度」の見直しで「がんの治療費」が上がる!? 現役世代の民間保険も見直さないといけないの?

配信日: 2025.03.15

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「高額療養費制度」の見直しで「がんの治療費」が上がる!? 現役世代の民間保険も見直さないといけないの?
高額療養費制度の負担上限額の見直しが検討され、2025年8月の引き上げは見送りとなりました。しかし、医療費の自己負担が重くなる可能性はまだ残されています。実際に制度が改正されたら、個人の負担額がどのくらい上がるのか心配されている方も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、高額療養費制度の見直しで医療費の負担はどう変わるのか、考えられる今後の対策について解説します。
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高額療養費制度の見直しで負担額が変更に

高額療養費制度とはどんな制度?

高額な医療費がかかったときに金銭的負担を軽減できるよう、決められた一定額以上は負担しなくてもよい公的制度です。
 
同じ月(1日から月末まで)に、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が一定の自己負担限度額を超えた場合、一度支払った超過分が払い戻しされます。
 
※入院や手術など高額な医療費が予想される場合は、初めから限度額までの支払いで済むよう「限度額適用認定」の手続きができます。限度額適用認定証を提出するか、マイナ保険証を導入している医療機関であれば、マイナ保険証の提示だけで手続きは完了です。
 

医療費負担はどう変わる?

高額療養費制度の見直しによる変更点は、大きく次の2つです。
 
1. 自己負担限度額の引き上げ
70歳未満の方を対象に、2025年8月から段階的に引き上げが行われる見込みです。中央値と思われる年収約370万〜770万円の世帯では、2025年8月にまず約10%引き上げられ、負担額は8万100円から8100円増の8万8200円になります。最終的には2027年8月にかけて、3段階でさらなる引き上げの予定です。
 
図表1

適用年収区分 ひと月の自己負担上限額(世帯ごと)
現行 2025年8月~
年収約1160万円以上 25万2600円 29万400円(+3万7800円)
年収約770万~1160万円 16万7400円 18万8400円(+2万1000円)
年収約370万~770万円 8万100円 8万8200円(+8100円)
年収約370万円未満 5万7600円 6万0600円(+3000円)
住民税非課税世帯 3万5400円 3万6300円(+900円)

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ (平成29年7月診療分まで)」より筆者作成
 
2. 適用年収区分の細分化
現行の年収区分は5区分ですが、2026年8月からは13区分に細分化されます。それによって、さらに負担金額は上がる見込みです。中央値である年収約370万〜770万円の区分を例にあげると、現行の負担額は2027年8月には次のようになります。
 

・年収約370万円~510万円未満:8万100円→8万8200円(+8100:10%増)
・年収約510万円~650万円未満:8万100円→11万3400円に(+3万3300円:約40%増)
・年収約650万円~770万円未満:8万100円→13万8600円に(+5万8500円:約70%増)

 
上記のとおりに改正される場合、働き盛りの現役世代にとっても、けっこうな額の負担増といえるのではないでしょうか。
 

治療費の自己負担は重く…… 現役世代の対策は?

今回の見直し案は、がん患者団体等から抗議や不安の声を受け、多数回利用する方のための特例(年4回以上高額療養費を利用する場合)は据え置きとなりました。
 
しかし、万が一病気になったとき、仕事と治療を両立しなくてはならない現役世代として、不安を覚えた方もいるのではないでしょうか。
 

現役世代ができる対策方法

1. 民間の医療保険の見直し
まず自分が入っている医療保険やがん保険の補償内容が、適切なのか確認しましょう。
 
高額療養費の助成に入っていない差額ベッド代や食事代、先進医療費などは自己負担になります。また入院・通院で収入が減る恐れのある方も、貯蓄でまかなうのか、保険で補てんをするのか把握しておく必要があります。
 
そして、がんの心配が大きい方は、やはりがん保険に入っておくと治療費の不安はだいぶ軽減できるでしょう。
 
2. 医療費負担に備えた貯蓄
保険を増やすのはもったいないと考えている方は、もしもに備えて貯蓄を増額しておきましょう。月に5000円でも医療用に積み立てをして、解約しないようためておけば、気が付いたときには思いのほかたまっているかもしれません。
 
3.病気の早期発見
がんなどの病気の早期発見は、医療費の負担軽減にもつながります。定期的に、健康診断や人間ドックを受けましょう。
 
会社員の方は定期健診を受けられている方も多いと思われますが、ご家族の扶養に入っている方でも、各健康保険組合で健康診断を受けられる場合が多いです。また、国民健康保険の方でも市町村主催の健康診断もあります。面倒がらずに受診して、病気の早期発見につなげましょう。
 

まとめ

ここまで、高額療養費制度の見直し内容と考えられる今後の対策について解説しました。今後の制度改革はまだまだ不透明な部分もあります。まずは制度の把握や、ご家庭の現状を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成29年7月診療分まで)
全国健康保険協会(協会けんぽ) 高額な診療が見込まれるとき(マイナ保険証または限度額適用認定証)
厚生労働省 医療保険制度改革について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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