「生活保護」の受給者が増えていると聞きました。本当に増えているのでしょうか?

配信日: 2025.03.17

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「生活保護」の受給者が増えていると聞きました。本当に増えているのでしょうか?
最近、「生活保護の受給者が増えている」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。生活保護は、経済的に困窮した人々を支援する制度ですが、受給者数の増加は社会全体の経済状況や生活の厳しさを示しているともいえます。
 
では、実際に生活保護の受給者は本当に増えているのでしょうか? 本記事では、最新の統計データをもとに受給者数の推移を確認し、その背景や今後の社会への影響について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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生活保護受給者数は本当に増えているのか? 最新データをチェック!

厚生労働省が公表した「生活保護の被保護者調査(令和6年12月分)」によると、生活保護を受給している人の総数(被保護実人員)は200万7364人となっています。これは前年同月比で1万5816 人(0.8%)減少しています。
 
また、生活保護を受給している被保護世帯数は165万2199 世帯で、前年同月比で1579世帯(0.1%)減少しています。さらに、保護申請件数は1万8551件で、前年同月比で144件(0.8%)とこちらも減少しています。
 
これらのデータから、生活保護を受ける「人の数」は減少傾向にあることが分かります。
 

生活保護受給者数の推移

生活保護受給者数は、経済状況や社会構造の変化によって増減を繰り返してきました。特に、平成27年(2015年)には約204万人と過去最多を記録しましたが、その後は減少傾向にあります。
 
令和3年(2021年)には新型コロナウイルスの影響により一時的に増加したものの、令和5年(2023年)には約202万人、令和6年(2024年)9月には約201万人となり、現在も緩やかな減少が続いています。
 
生活保護の受給率も同様に推移しており、令和6年9月時点では1.62%に低下しています。これは、雇用環境の改善や自立支援施策の強化による影響と考えられますが、一方で生活保護を必要としているにもかかわらず申請できていない「潜在的な受給対象者」の存在も指摘されています。
 
今後、高齢化の進行に伴い、特に単身高齢者の生活保護利用が増加する可能性があるため、長期的な視点での制度改革や支援策の充実が求められます。
 

生活保護受給者数減少の背景

生活保護受給者数は緩やかに減少傾向にありますが、その背景には複数の要因が考えられます。本章では、受給者数の推移に影響を与えている主な要因について解説します。生活保護受給者数の減少には、主に以下の要因が考えられます。
 
1. 雇用や所得環境の改善による景気回復
内閣府の「月例経済報告(令和7年2月)」によると、日本の景気は雇用や所得環境の改善の下で一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しています。これにより、生活保護を必要とする人々の数に影響を与えている可能性があると考えられます。
 
2. 自立支援施策の強化
政府や自治体は、生活保護受給者の自立を支援する施策を強化しています。例えば、就労支援プログラムや生活困窮者自立支援制度の充実により、受給者が自立しやすい環境が整備されています。
 

今後の生活保護制度はどうなる? 今後の課題と展望

生活保護受給者数は緩やかに減少していますが、高齢化や物価上昇などによる増加要因も存在しており、今後の推移には注視が必要です。
 
例えば、申請手続きの複雑さや偏見などにより、「隠れた困窮者」が支援を受けられていない可能性があります。また、高齢化が一層進むことにより、今後は年金だけで生活できない高齢者の増加が懸念されており、持続可能な制度運用と包括的な支援策が求められます。さらに、物価上昇が家計を圧迫し、生活困窮者が増加するリスクもあります。
 
対策としては、自立支援や就労機会の拡充によって、受給者が経済的に自立できる環境整備を進めることが重要です。さらに、生活保護への偏見解消と、必要な人に対して適切な支援を強化することが求められます。
 
今後は、生活保護制度だけに依存せず、低所得者向けの支援策や就労支援、地域包括ケアシステムなど総合的な福祉政策を組み合わせた持続可能な制度運用が必要となるでしょう。
 

今後の生活保護制度に注目しよう

令和6年12月時点で生活保護受給者数は緩やかに減少しており、景気回復や自立支援施策の効果が表れていると考えられます。しかし、生活困窮者が減少しているとは言い切れず、申請のハードルの高さや「隠れた困窮者」の存在が課題として残ります。
 
また、高齢化がさらに進むことが予想されるため、今後も生活保護制度への負担が増える可能性があります。したがって、適切な制度運用と支援体制の強化が求められるでしょう。
 
生活保護は社会の安全網として重要な役割を果たしており、必要な人が適切に利用できる環境整備が不可欠です。制度の今後について、引き続き注目し、必要な支援が適切に提供される社会を目指しましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和6年12月分概数)の結果を公表します
内閣府 月例経済報告(令和7年2月)
厚生労働省 生活保護受給者等への就職支援
厚生労働省 生活困窮者自立支援制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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