70歳の父が「生活保護」を申請したらしく、市役所から手紙が届いた!「年収500万円」ですが、収入も調べられますか? 10年以上連絡を取っておらず余裕もありません…
配信日: 2025.03.18

少子高齢化社会が進行する中で、生活に困窮する高齢者の数は年々増加していると考えられます。こうした状況下では、高齢の親が生活保護を申請するというケースも珍しくないのかもしれません。
もし、長年連絡を取っていない自分の親が生活保護を申請したと、突然行政から手紙が届いた場合、どのように対処するのが適切なのでしょうか。本記事では、生活保護申請時に調査される範囲や、申請者の支援を断る場合にどのような影響があるのかを解説します。

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生活保護申請時に調べられる範囲
生活保護の申請があると、申請者の生活状況などを把握するために実地調査を行います。調査の範囲には、申請者本人の預貯金や保険、不動産などの資産や、年金、収入などが含まれます。
生活保護費の支給は原則として世帯単位で決定されるため、家族や同居人の状況も考慮されますが、同居していない家族の資産状況は通常は考慮されません。しかし、民法第877条では、直系血族および兄弟姉妹らを指す扶養義務者の扶養が、生活保護よりも優先されると定められています。
そのため扶養義務者に対する調査は原則行われ、扶養義務者に送られる調査書類「扶養届書」では、金銭的な援助の可否から、収入、不動産などの資産、また負債の状況について回答が求められます。
このとき、もし扶養義務者が援助可能であるにもかかわらず、援助を行っていないと判断された場合、扶養義務者に対しても、銀行などの関係機関への照会が行われることがあります。ただし、行政が家庭の事情に立ち入るべきではないという見方もあり、通知や照会は慎重に行われているようです。
支援を断ったらどうなる?
自治体から届いた扶養届書に対して回答をしなかったり、援助を拒否したりした場合、どうなるのでしょうか。長い間音信不通であった場合でも、気になるところかもしれません。
厚生労働省によると、生活保護の申請は国民の権利として保障されており、扶養義務者からの回答がなかったり、援助を拒否されたりした場合でも、それだけで申請者が生活保護を却下されることはありません。
しかし、生活保護申請から受給決定までの期間は原則14日以内のところ、資産調査や扶養義務者からの回答を待つなど、特別な理由がある場合は最大で30日まで延長されることもあります。
生活保護申請を行う人は、緊急の支援を必要としている場合も考えられるため、扶養届書が届いた場合には無視せず、速やかに返送することが望ましいです。援助を拒否する場合であっても、その旨を自治体にきちんと伝えることが重要です。
まとめ
生活保護を申請する際、申請者の生活状況や収入など資産についての調査が行われますが、親族の年収については必ずしも調べられるわけではありません。行政は関係機関への調査を慎重に判断しており、照会に迫られた場合であっても、扶養義務者の了解を得る必要があります。
扶養届書が届いたら、援助ができない場合であっても、速やかに返送することが望ましいでしょう。
出典
厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和6年11月分概数)の結果を公表します
厚生労働省 生活保護制度
e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 生活保護法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー