世帯年収600万円〜700万円なら利用できる! 私立大学理系の「23万円補助制度」とは
配信日: 2025.03.19 更新日: 2025.03.21

そこで、文系と理系の授業料の差額、入学金の差額を埋めるために2024年に支援制度が導入されました。支援制度の内容、利用できる人や利用できる大学などお伝えします。

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
私立大学理系の授業料支援制度とは
私立大学理系の授業料支援制度とは、文系と理系の授業料や入学金の差額を支援してくれる制度です。具体的な支援額は図表1のとおりで、この金額を上限として支援されます。
【図表1】
ただし、当然ながら誰でも利用できるわけではなく、所得制限、学業成績、利用できる大学など基準があります。一つひとつ確認しましょう。
所得制限は?
所得制限はありますが、中間所得者層も利用できるように世帯年収の目安は600〜700万円の家庭となっています。利用できる世帯年収の目安は図表2のとおりです。
【図表2】
学業基準は
この支援制度を利用するには、成績も一定基準をクリアする必要があります。ただし、成績が基準をクリアしていなくても、レポートや面接で学習意欲があることが認められれば支援を受けられます。具体的には以下のとおりです。
1. 1年生から申込時までの全科目の成績平均値が、5段階評価で3.5以上
2. 学修意欲がある(レポート、面接等実施)
2の学修意欲については、「学習」ではなく「学修」であるように、学ぶ目的とそれを生かしてどう社会で自立・活躍する考えがあるのかをレポートや面接などで確認されます。
1. 高校の評定平均値が3.5以上であるか、入試の成績が入学者の上位2分の1以内
2. 高等学校卒業程度認定試験の合格者である
3. 学修意欲がある(レポート、面接等実施)
1. 入学時から前学年までの累積で平均成績が在学する学部の上位2分の1以内
2. 取得単位数が標準単位数以上であり、学修する意欲がある(レポート提出)
いずれの場合も、支援を受けられたとしても、その後単位取得率が6割以下、出席率が6割以下など基準に満たなければ支援は打ち切りとなります。
利用できる大学の学科等は
この制度を利用できる学科は、文部科学省がホームページで公表する「私立学校の理工農系学部・学科のリスト」に記載された大学の学科等です。随時更新されているため、ご自身が通っている、これから通おうとしている大学の学科があるかどうか、確認してみるとよいでしょう
手続き方法
高校生の場合は、高校3年生の時に学校を通じて申し込みます。この制度は奨学金を申し込むわけではないですが、奨学金の申し込みと同じ案内になるため、春に学校から奨学金の案内があれば、申込書類をもらいましょう。
まだ理系に行くかどうか決まっていなくても、申し込みは可能です。仮に理系に行かなかった場合は、支援を受けられないだけですから、理系に行く可能性があるなら申し込んでおきましょう。
大学生の場合は、在学している大学で春と秋に奨学金の募集が行われます。募集をチェックして期限内に申し込みを行いましょう。
情報収集して上手に制度活用を
ここ数年、子育て支援制度として多くの制度が誕生したり改正されたりしています。活用できる制度がないか情報収集して、活用できる制度があれば積極的に活用していきましょう。
出典
文部科学省 令和6年度からの奨学金制度の改正(授業料免除等の中間層への拡大)
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士