賃貸マンションを退去する予定です。高額な退去費用を請求された場合、交渉は可能なのでしょうか?

配信日: 2025.03.20 更新日: 2025.03.21

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賃貸マンションを退去する予定です。高額な退去費用を請求された場合、交渉は可能なのでしょうか?
賃貸マンションを退去する際、思っていた以上に高額な退去費用を請求されることがあります。敷金を預けている場合でも、「追加で費用が必要」と言われるケースも少なくありません。しかし、請求された金額が本当に正当なものなのかを確認し、交渉次第では減額できる可能性があります。では、どのように確認し、交渉すればよいのでしょうか?
 
本記事では、高額な退去費用を請求された際の対応方法について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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退去費用の内訳と負担の基準を知ろう

まず、退去時に請求される費用の内訳を確認しましょう。賃貸物件を退去する際に発生する代表的な費用には、次のようなものがあります。

●ハウスクリーニング費用:部屋全体の清掃費用
●修繕費(原状回復費):壁紙や床、設備の修理費
●鍵交換費用:次の入居者のための鍵交換代(契約による)
●敷金精算:敷金がある場合、そのなかから費用が差し引かれる

これらの費用は、すべて借主(入居者)が負担するわけではありません。特に修繕費については、経年劣化や通常の使用による損耗であれば、貸主(大家)の負担とするルールがあります。
 
国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「入居者が通常の生活を送るなかで生じた汚れや劣化については、修繕義務を負わない」という旨が明記されています。例えば、以下のようなケースは大家側が負担すべきとされています。

●壁紙の黄ばみ(経年劣化)
●床の色あせやへこみ(通常の使用によるもの)
●設備の自然故障(エアコン、給湯器など)

一方で、以下のようなケースは入居者負担になる可能性があります。

●タバコのヤニ汚れ(故意によるもの)
●ペットによる傷や臭い
●飲み物をこぼしてできたカビやシミ

このように、退去費用の内訳をしっかり把握し、「本来支払うべきもの」と「不要な請求」を見極めることが大切です。
 

退去費用の請求が妥当かを確認する方法

高額な退去費用を請求された場合、まずは以下の点を確認しましょう。
 

1. 賃貸借契約書の内容をチェック

契約書には、退去時の原状回復についての規定が記載されています。特に、「特約事項」の欄に、クリーニング費用や修繕費用の負担について明記されている場合があります。以下で、2つの例を見てみましょう。

●「退去時にハウスクリーニング費用〇万円を支払う」 → このような特約があれば支払う義務あり
●「入居者負担で全室クロス張り替え」 → 原則として不当な請求の可能性

特約があっても、すべてが有効とはかぎりません。消費者契約法により、借主に不当に不利な契約は無効とされるケースもあります。
 

2. 退去前に部屋の状態を写真で記録

退去時に部屋の状態を写真や動画で残しておくと、後から「傷があった」と言われても証拠を提示できます。特に「入居時の写真」があると、もともと傷や汚れがあったかどうかを証明しやすくなります。
 

3. ガイドラインと照らし合わせる

国土交通省のガイドラインでは、以下の点が示されています。

●壁紙や設備などは経年劣化や通常使用による損耗の場合、貸主(大家)が負担する
●フローリングの通常使用による傷やへこみは貸主負担
●エアコンの内部洗浄費用は通常貸主負担

もし、これに反する請求があれば、大家や管理会社に減額交渉をすることが可能です。
 

退去費用を減額するための交渉方法

退去時に高額な費用を請求された場合でも、必ずしもその金額を支払わなければならないわけではありません。請求内容を確認し、適切に交渉すれば、費用を減額できる可能性があります。ここでは、大家や管理会社と交渉する際のポイントや、スムーズに減額を進めるための方法について解説します。
 

1. まずは管理会社や大家に相談

「国土交通省のガイドラインでは〇〇となっているため、負担する義務はないと思います」と伝え、減額を求めてみましょう。交渉により、適正な金額に近づけられる可能性があります。
 

2. 第三者機関に相談する

管理会社や大家が交渉に応じない場合、以下の機関に相談するのも有効です。

●国民生活センター、消費生活センター(不当な請求を受けた際の相談窓口)
●宅地建物取引業協会(不動産に関するトラブル対応)
●日本賃貸住宅管理協会(賃貸住宅市場の健全な発展を目指す団体で、賃貸トラブルに対応)
●法テラス(法的トラブルに関する相談窓口)
●弁護士(専門家の意見をもとに交渉)

自分だけで解決しようとせず、専門機関のサポートを活用しましょう。困ったときは迷わず連絡をして、適切なアドバイスを受けることが大切です。
 

まとめ

賃貸マンションの退去時に高額な費用を請求された場合、その金額が適正かどうかを確認することが重要です。経年劣化や通常使用による汚れや傷は、入居者ではなく大家が負担すべきものとされています。
 
まずは、賃貸借契約書の特約や国土交通省のガイドラインを確認し、請求内容が妥当かを判断しましょう。不当な請求が疑われる場合は、大家や管理会社と冷静に交渉し、必要に応じて消費生活センターや弁護士などの第三者機関に相談することも有効です。
 
また、入居時や退去時に部屋の写真を撮ったり、賃貸借契約書や重要事項説明書を保管したりして証拠を残しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。請求額が高くても焦らず対応し、適正な範囲で費用を支払うようにしましょう。
 

出典

国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
国土交通省 賃貸住宅の入居・退去に係る留意点
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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