持ち家があると「生活保護を受けられない」と聞きました。本当にそうなのでしょうか?
配信日: 2025.03.20 更新日: 2025.03.21

では、どのような条件で持ち家を保有しながら生活保護を受けることができるのでしょうか? 本記事では、持ち家と生活保護の関係について詳しく解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活保護を受けるための基本条件
生活保護は、国が最低限度の生活を保障し、自立を支援する制度です。受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。
(1)収入が最低生活費を下回っていること
(2)利用可能な資産を活用してもなお生活に困窮していること
(3)働く能力がある場合は、それを生かす努力をしていること
(4)親族からの援助を受けられないこと
特に、2番目の「資産の活用」が重要なポイントになります。生活保護を受ける前に、まず所有する資産を活用することが原則とされています。ただし、居住用の持ち家については、一定の条件下で保有が認められる場合があります。
持ち家があっても生活保護を受けられるケース
持ち家を持っているからといって、必ずしも生活保護を受けられないわけではありません。以下のようなケースでは、持ち家を手放さずに生活保護を受給できる可能性があります。
1. 持ち家を売却すると生活に支障が出る場合
持ち家を売却すると、引っ越し費用や新しい住居の賃貸費用がかかります。特に、高齢者や障がい者がいる家庭では、新たな住環境になじめず生活が困難になることも考えられます。そのため、持ち家を売却することでかえって生活が悪化すると判断される場合は、保有が認められることがあります。
2. 持ち家の資産価値が低い場合
持ち家の市場価値が低く、売却しても十分な生活資金にならないと判断される場合、手放さなくてもよいとされることがあります。例えば、築年数が古く買い手がつかない物件や、地方の過疎地域にある不動産などは、このケースに当てはまる可能性が高いです。
3. 住宅ローンが完済されている、残債が少ない場合
住宅ローンを完済している場合、または残債が少ない場合(目安:残高300万円以下、完済予定が5年以内)は、生活保護を受給できる可能性が高くなります。
これは、家賃負担がなく、または近い将来なくなることで、生活の安定につながるためです。ただし、住宅ローンがなくても、資産価値や生活状況などを総合的に判断して決定されます。資産価値が高すぎる場合は、売却を求められる可能性もあります。
4. 特別な事情がある場合
病気や介護の理由で自宅を離れられない、家族が一緒に暮らしているなどの特別な事情がある場合は、持ち家を手放さずに生活保護を受給できる可能性があります。このような場合は、自治体の福祉事務所に相談し、具体的な状況を説明することが重要です。
持ち家があると生活保護を受けられないケース
一方で、持ち家を保有し続けることが難しい場合もあります。次のような場合は、売却を求められる可能性が高いです。
1. 持ち家の資産価値が高い場合
持ち家の売却によって十分な生活資金を確保できる場合、生活保護の前に売却して資産を活用するよう求められます。例えば、都市部の高価な不動産を所有している場合は、まず売却を指導されることが一般的です。
2. 住宅ローンの返済が続いている場合
住宅ローンが残っている場合は、原則生活保護を受給することはできません。ただし上述のとおり、ローンの残債が少ない場合は例外的に認められることがあります。債務整理を行うことで持ち家を維持できるケースもあるため、専門家に相談することをおすすめします。
3. 持ち家に住んでいない場合
生活保護は「最低限度の生活」を保障する制度であり、居住していない不動産を保有することは資産運用とみなされるため、売却を求められます。例えば、別荘や賃貸用の物件を所有している場合は、原則として売却が必要です。
生活保護を受けるために必要な手続きの流れ
持ち家がある状態で生活保護を申請する場合、まずは自治体の福祉事務所に相談することが重要です。手続きの流れは、以下のようになります。
(1)福祉事務所に相談し、持ち家の状況を説明する
(2)資産調査を受け、持ち家の市場価値を査定される
(3)売却の必要があるかどうかの判断を受ける
(4)持ち家の保有が認められた場合は、生活保護の申請手続きを進める
持ち家を維持することが難しいと判断された場合は、売却や債務整理の相談をすることも検討しましょう。
まとめ
持ち家があると生活保護を受けられないというのは一概にはいえず、状況によって異なります。持ち家の資産価値が低い場合や、売却によって生活に支障が出ると判断される場合は、保有が認められることがあります。しかし、資産価値が高い場合や住宅ローンが残っている場合は、売却を指導されることが一般的です。
生活保護を申請する際は、まず自治体の福祉事務所に相談し、自分の状況がどのケースに当てはまるのかを確認しましょう。持ち家の維持が難しい場合は、売却や債務整理の相談も検討し、最適な選択をすることが大切です。冷静に状況を整理し、適切なサポートを受けながら、生活を立て直す道を探していきましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 生活保護を申請したい方へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー