母は昔、カードローンを利用していました。「過払い金請求をするとお金が戻ってくる」というCMを見かけますが、実際に請求した場合、どのくらい戻ってくるのでしょうか?

配信日: 2025.03.20 更新日: 2025.03.21

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母は昔、カードローンを利用していました。「過払い金請求をするとお金が戻ってくる」というCMを見かけますが、実際に請求した場合、どのくらい戻ってくるのでしょうか?
一時期より見かける頻度は下がりましたが、「過払い金請求」というキーワードをCMなどで目にすることがあります。そのようなCMの多くは、司法書士や弁護士の事務所に電話1本することで、請求までの手続きを全てお任せできることをメリットとしてうたっています。
 
本記事では、実際に請求した場合に、どのぐらいの金額が戻ってくるのかについて確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

なぜ、過払い金が発生したのか?

過払い金が発生する原因には、「グレーゾーン金利」と呼ばれるものが挙げられます。
 
グレーゾーン金利とは、貸金業の利息について定めた「利息制限法」と「出資法」という2つ法律の間に、異なる利息上限が設定されていたために生じてしまった金利差のことです。
 
当時は、グレーゾーン金利で貸し付けをしても一定の要件を満たしていれば罰せられることはなかったため、多くの貸金業者がより高い利息上限となる出資法の金利で貸し付けを行っていました。
 
具体的には、利息制限法の利息上限は15~20%(借り入れ元本が10万円未満で20%、10万円以上100万円未満で18%、100万円以上で15%)であったのに対して、出資法では29.2%と定められていました。この15%と29.2%の間で設定された金利がグレーゾーン金利です。
 
その後、グレーゾーン金利が問題視され、2006年1月の最高裁判決などを受け、2010年6月18日に貸金業法が改正されました。この改正により出資法の上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利は消滅することになりました。
 
つまり、2010年6月18日を基準として、それ以前にグレーゾーン金利の範囲で借り入れをしていた場合には、払い過ぎた利息(過払い金)を返還請求できる可能性があるということになります。
 
ただし、借入先が貸金業者等(消費者金融やクレジットカード会社)であることが条件で、銀行や公的機関からの借り入れは対象とはなりません。
 
また、民法の消滅時効により、最終取引後(完済後)10年(または、権利を行使できることを知ったときから5年)を経過していないことが条件となります。さらに、借入先がすでに倒産している場合にも対象外となります。
 

過払い金の計算

過払い金の計算式は、基本的には以下のとおりです。
 
グレーゾーン金利で支払った利息 - 正当な金利で借り入れた利息
 
単純な事例として、貸金業者から100万円を借り入れ、29.2%の利息を払い、1年後に一括返済したケースを想定してみると、以下のように計算されます。

 グレーゾーンで支払った利息(かつての出資法の上限)=100万円×29.2%=29万2000円
 正当な利息(利息制限法の上限)=100万円×15%=15万円
 過払い金は、29万2000円-15万円=14万2000円

実際に正確な過払い金の計算をすることを「引き直し計算」といい、貸金業者等との取引履歴(過去の借入額や返済額など)を基に計算します。
 
引き直し計算は、計算ツールやExcelなどを活用して自分で行うことも可能ですが、より正確な計算や貸金業者とのやりとり、その後の請求手続きなどの手間を総合的に考えると、司法書士や弁護士などの専門家にお願いする方が確実かもしれません。
 

まとめ

前述のとおり、過払い金の消滅時効は、原則として最終取引後10年、または権利を行使できることを知ったときから5年です。時効が成立していなければ、すでに完済していたケースでも返還請求することができます。その他にも、いまだ返済中であるなど、借り入れの状況に応じたさまざまなケースが考えられます。
 
実際にどのくらい戻ってくるかについては、いくら借り入れしていたのか、返済期間がどれくらいかによって異なります。当然、借り入れた金額が大きく、より長い返済期間の場合には、その分の金利差が積み重なっていきますので、過払い金も高額になる場合があります。
 
インターネット上でもさまざまな返還事例が掲載されていますので、参考にしてみましょう。なお、司法書士や弁護士などの専門家に請求手続きを依頼(代理)する場合、通常は別途手数料がかかりますので、事前によく相談したうえで手続きを進めることをお勧めいたします。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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