大学生の息子が卒業後「大学院」に進学したいと言っています。大学院の学費のために、奨学金は利用できますか?
配信日: 2025.03.20 更新日: 2025.03.21

理系の学生は、大学院の学費や生活費も準備しておくのが大切です。この記事では、大学院修士課程の学費の目安と日本学生支援機構の奨学金について解説します。

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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大学院(修士課程)の学費
大学院には修士課程と博士課程があります。
大学院の学費は、国立・公立・私立によって異なります。国立大学の大学院の学費は大学と同様、標準額が定められています。初年度の学費は授業料52万800円、入学料28万2000円です。修士課程に進む場合は、入学金と授業料合わせて2年間で135万3600円です。
ただし、法科大学院は、他の一般的な大学院よりも授業料が高く設定されており、授業料は80万4000円となっています。2年課程(法学既修者課程)に進学する場合は合計189万円、3年の課程(法学未修者課程)に進学する場合は合計269万4000円です。
一方、私立大学の大学院の初年度にかかる学費は、国立大学より高い傾向です。博士前期課程(修士課程を含む)は、授業料・入学料・施設設備費等の合計で平均113万4590円となっています。
2年間では約207万円になります。法科大学院(専門職学位課程)は授業料・入学料・施設設備費等の合計で153万1904円となっています。2年課程で約274万円、3年課程で約400万円です。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
大学院に進学する学部生向けの奨学金に給付型奨学金はありません。貸与型奨学金には無利子の「第一種奨学金」または「授業料後払い制度(返還方式は所得連動返還方式のみ)」と利子(上限利率3%)付きの「第二種奨学金」があります。入学時に一時金として1回だけ利用できる「入学時特別増額貸与奨学金」もあります。
なお、授業料後払い制度は、授業料支援金と生活費奨学金を無利子で貸与する制度です。卒業等した後、貸与奨学金として所得に応じた金額の返還が必要になります。修士課程(博士前期相当の課程含む)や専門職学位課程の在学者が利用できます。
授業料後払い制度の貸与額は、授業料支援金として、年額で国公立が最大 53万5800 円、私立が最大 77万6000 円です。生活費奨学金を利用する場合、2万円、4万円から選択します(月額)。
第一種奨学金の貸与月額は、修士課程相当が5万円、8.8万円から選択、博士課程相当が8万 円、12.2万円から選択します。
なお、大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生のうち、貸与期間中に特に優れた業績を上げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度があります。教員になった者に対する返還免除制度もあります。
第二種奨学金の貸与月額は修士課程・博士課程とも5万円、8万円、10万円、13万円、15万円から選択します。法科大学院において貸与月額 15 万円を選択した場合に限り、4万円または5万円を増額できます。
入学時特別増額貸与奨学金(一時金)は入学時の諸費用の負担を補うことを目的として 入学時に10万円から50万円まで金額を10万円単位で選択できます。
申込方法は進学前に申し込む「予約採用」と進学後に申し込む「在学採用」があります。ただし、大学院によっては予約採用の募集を行っていない場合もあります。事前に大学院の奨学金担当窓口に問い合わせて確認しましょう。
奨学生として採用されるには、一定の学力基準と家計基準(申込者本人および配偶者の貸与額算定基準額が基準)を満たす必要があります。申し込む前に基準を持たしているか奨学金案内でよく確認しましょう。
まとめ
日本学生支援機構の奨学金制度以外にも、多くの大学院では、返済の必要がない給付奨学金や成績優秀者に対する授業料の減免や、経済的に困窮している学生に対する支援制度などがあります。まずは、ご自身が利用できる制度について調べてみることから始めましょう。
出典
文部科学省 令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値を公表します。
文部科学省 私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査結果について(令和5年度)
日本学生支援機構 大学院へ進学予定の方
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。