奨学金を借りて「大学」に進学するのと、「高卒」で働くケースではどちらがお得になるのでしょうか?
配信日: 2025.03.22

一方で、高卒で早く働き始めることで、社会経験を積みながら収入を得ることもできます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、冷静に比較することが大切です。本記事では大卒と高卒の生涯賃金、奨学金の実情を紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大卒と高卒では生涯収入にどれだけ差が出る?
まず注目すべきは「生涯賃金」の違いです。独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023」によると、60歳まで働いた場合の平均的な生涯収入は以下の通りです。
・大卒男性:約2億4740万円
・高卒男性:約2億300万円
・大卒女性:約1億9800万円
・高卒女性:約1億4920万円
このように、学歴が上がるほど生涯収入は高くなる傾向があります。つまり、奨学金を借りて進学したとしても、長期的に見れば回収可能と考えることもできます。
奨学金の負担は大きい?返済の実態を知っておこう
一方で、大学進学には費用がかかります。私立大学4年間でかかる費用は、学費や生活費も含めておよそ500万円〜700万円に達することも。これをすべて奨学金で賄った場合、卒業後の返済は20年に及ぶこともあります。
日本学生支援機構の第一種(無利子)・第二種(有利子)の奨学金制度を利用するケースが多いですが、毎月の返済額は1万5000円〜2万円前後が一般的。年収300万円程度の若手社会人にとっては、決して軽くはない負担です。
ただし、返済猶予制度や所得連動型の返済プランなども用意されており、計画的に返すことができれば、致命的な負担にはなりにくい仕組みも整ってきています。
高卒で働くメリットと将来の選択肢とは?
高卒で就職する道には、大学に行かない分、早く社会に出て経験を積めるという大きなメリットがあります。例えば、大学生が4年間学んでいる間に、高卒で働き始めた人はすでにフルタイムでの実務経験を重ね、収入を得ながらスキルを身につけています。
また、奨学金を借りていないため、卒業後に数百万円の借金を返済する必要がないという点も大きな違いです。経済的な自立が早く、家族の負担も少なくて済むため、現実的な選択として評価する声も増えています。
さらに、高卒であっても安定した職に就くことは十分可能です。大手メーカーやインフラ関連企業、地方公務員など、高卒採用枠を設けている業界も多く、着実にキャリアを積める職場もあります。
働きながら通信制の大学で学ぶことや、資格取得にチャレンジする人も多く、キャリアアップの道が閉ざされているわけではありません。
このように、高卒で働くという選択肢は、単に「大学に行かないから不利」というものではなく、むしろ早くから実務に携わることで得られる経験と安定した収入を武器に、将来の可能性を広げていく道でもあるのです。
まとめ
奨学金を借りて大学に進学するか、高卒で働くか。どちらが「お得」かは、単に金銭面だけではなく、自分が将来どうなりたいか、どんな生き方をしたいかによって決まります。
大学に行くことで将来の選択肢が広がる一方で、高卒で地に足をつけて働くことにも確かな価値があります。大切なのは、「周りがどうしているか」ではなく、自分の目標と現実を照らし合わせて納得のいく選択をすることです。
後悔のない進路選びのために、今の時点でよく調べ、家族ともじっくり話し合ってみてくださいね。
出典
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2023
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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