「公営住宅」って何? 普通の集合住宅とは何が違うの?
配信日: 2025.03.24

では、一般的なマンションやアパートなどの集合住宅とは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、公営住宅の特徴や入居条件、家賃設定の仕組みなどを詳しく解説し、一般の集合住宅との違いを説明します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公営住宅とは?
公営住宅とは、国や地方公共団体(都道府県や市町村)が主体となって建設・管理を行う賃貸住宅です。その目的は、低所得者層や高齢者、障害者など、住宅の確保に困窮する人々に比較的安い家賃で安全な住まいを提供することにあり、日本国憲法第25条に基づき、国民の居住の安定を図るための重要な役割を担っています。
公営住宅には、都道府県が管理する「県営住宅」と、市町村が管理する「市営住宅」があり、これらの住宅は、国からの財政支援を受けて建設・運営されています。
公営住宅と一般の集合住宅との違い
一般の集合住宅(マンションやアパートなど)は、民間企業によって建設・管理されているのに対し、公営住宅は国や地方公共団体が管理している点が大きな違いです。
家賃設定も異なり、一般の集合住宅は市場原理に基づいて自由に設定されますが、公営住宅は「応能応益家賃制度」を採用しています。これは、入居者の世帯収入、住宅の規模および築年数等を考慮して家賃が決定される仕組みです。
例えば、大阪市の場合、月収10万4000円以下の世帯であれば、家賃算定基礎額は3万4400円となります。これに住宅の立地や広さなどを考慮した係数をかけて最終的な家賃が算出されます。
入居資格も異なり、公営住宅は住宅に困窮している低所得者を対象としているため、収入基準や同居親族要件などが設けられています。一方、一般の集合住宅は、収入や家族構成にかかわらず、誰でも入居できるという違いがあります。
公営住宅の入居条件
公営住宅への入居には、いくつかの資格要件を満たす必要があります。なかでも重要なのが、同居親族、収入、そして住宅困窮に関する要件です。
まず、同居親族に関しては、原則として一緒に住む家族がいることが求められます。ただし、50歳以上の人や身体障害者・戦傷病者・原爆被爆者・生活保護受給者・海外からの引揚者・ハンセン病療養者など、居住の安定が必要と認められる人は単身での入居も可能です。
次に収入要件ですが、これは世帯収入によって細かく定められています。一般的なケースでは月収が20万円以下でなければなりません。しかし、身体障害者手帳1級から4級を持っている人・精神障害で1級または2級の人・知的障害で同程度の障害を持っている人など、特別な事情がある場合は月収26万8000円以下まで入居が認められる場合もあります。
また、50歳以上の人で同居者が全員50歳以上もしくは18歳未満の場合、あるいは戦傷病者・原爆被爆者・海外引揚者・ハンセン病療養者がいる場合も、この上限が適用されます。さらに、災害で家を失った所得が少ない人のためのの公営住宅も、月収26万8000円以下が基準です。
公営住宅の家賃設定の仕組み
公営住宅の家賃は、前述のとおり「応能応益家賃制度」に基づいて決定されます。この制度は、入居者の収入に加え、住宅の立地条件や広さ、築年数などを考慮して家賃が算定されるというものです。
例えば、神戸市の場合、その住宅の土地の価格を市町村ごとに定めた数値を表す「市町村立地係数」、住宅の規模を表す「規模係数」、築年数を表す「経過年数係数」、利便性を表す「利便性係数」などが用いられ、これらに家賃算定基礎額をかけて家賃が算出されます。
また、収入が一定額を超えると「収入超過者」とみなされ、家賃が割り増しされる場合があります。さらに、一定期間高額所得が続くと「高額所得者」とみなされ、退去を求められることもあるでしょう。
公営住宅は国の重要な制度
公営住宅は、公営住宅法に基づき住宅確保に困窮する人々に比較的安い家賃で提供するための住宅です。一般の集合住宅とは異なり、入居資格や家賃設定に独自のルールが設けられています。
入居を検討する際は、各自治体の窓口に問い合わせるなどして、詳しい情報を確認してください。公営住宅は、住宅困窮者にとって、生活を送るための大きな支えとなるでしょう。
出典
国土交通省 中部地方整備局 公営住宅とは
厚生労働省 日本国憲法25条第1項
大阪市 市営住宅の家賃について
国土交通省 公営住宅制度の概要について
神戸市:家賃のしくみ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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