4月からオーナーチェンジで家賃が「6万円」から「6万5000円」に…拒否できるのでしょうか?
配信日: 2025.03.25

今回は、オーナーチェンジによる家賃の値上げを拒否できるのか、また大家が変わったときのチェックポイントなどについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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オーナーチェンジとは
オーナーチェンジとは、居住者がいる状態で物件を管理する大家が変わることです。入居している方は、大家が変わったあとも引き続き同じ物件で生活できます。
新しい大家には、家賃を受け取る権利とともに、その物件における管理のルールや、入居者が退去するときの敷金の返還義務も引き継がれます。契約内容は変わらないものの、契約相手が変わるので、大家が変わる前には入居者に事前に連絡されるでしょう。
オーナーチェンジによる家賃の値上げは拒否できる?
契約更新時期に大家が変わった場合でも、法的に認められる理由でなければ、家賃の値上げは拒否できる場合もあります。借地借家法第32条第1項によると、家賃の値上げが認められる理由は以下の通りです。
●土地や建物にかかる税金やそのほかの負担が高くなった
●土地や建物の価値自体が上がった
●近隣の同じような賃貸物件と比較して家賃が安い
例えば、以前の大家が善意から周囲の賃貸よりも家賃をかなり低く設定しており、オーナーチェンジ後に新しい大家が本来の家賃相場に戻した場合は、法的に問題ないとされるでしょう。しかし、以前から相場通りの家賃かつ、税金や設備などの負担も変わっていない場合は、家賃の値上げを拒否できる可能性があります。
値上げの理由を新しい大家に聞いたり、周囲の家賃相場を調べたりして、家賃の値上げが妥当かを確認するとよいでしょう。また、大家が変わった時点で契約期間の途中であった場合は、原則として前の大家との契約内容が適用されます。
借地借家法第26条で「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」と定められているためです。
そのため、値上げを告げられたときはまず契約更新まで1年~6ヶ月の期間があるかを確認しましょう。6ヶ月を切っていれば、法的に以前の条件のままで契約を更新したとみなされている可能性があります。もし、契約が更新されていれば、契約が終了するまでは基本的に以前の家賃のままです。
大家が変わったときのチェックポイント
大家が変わったときは、まず家賃の振込先と入金日を確認しましょう。
大家が変わると管理会社も変わるケースが多いとされています。管理会社が変わると、振込先も変更になることが多いので、確認が必要です。もし、新しい指定銀行に口座を持っていない場合は、振込手数料が発生する可能性があります。
また、家賃の入金日が変更されていた場合、引き落としのタイミングによっては銀行の残高が足りないなどで、知らぬ間に家賃を滞納してしまうことも考えられるので注意しましょう。
大家によっては、契約更新料も変更となるケースがあります。契約途中でオーナーチェンジとなったときはすぐに影響はありませんが、もし、更新料が高くなっていれば、次回の更新時に想定より多額の費用が発生します。
新しい大家との契約について、不明な点があるときは大家本人としっかり話し合い、懸念点を解消しておくことが大切です。
正当な理由がなければ拒否できる可能性がある
入居者がいる状態で大家が変わると、入居者は同じ賃貸物件に住みながら新しい大家と契約をすることになります。もし、オーナーチェンジで契約更新時に家賃の値上げを求められたときは、理由を確認しましょう。
法的に認められた値上げの条項に該当した理由でなければ、拒否できる可能性があります。ただし、最初から否定的な姿勢で話を聞くのではなく、大家としっかり向き合って話し合うことが大切です。
なお、オーナーチェンジによる契約の更新は、振込先や入金日、契約更新料が変わっているケースもあるので、よく確認しておきましょう。
出典
e-Govポータル法令検索 借地借家法(平成三年法律第九十号) 第三章 借家 第一節 建物賃貸借契約の更新等 第二十六条(建物賃貸借契約の更新等)、第二節 建物賃貸借の効力 第三十二条(借賃増減請求権)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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