母が入院し「差額ベッド代」を請求されました。個室じゃないのに自己負担になるのはなぜでしょうか?

配信日: 2025.04.25 更新日: 2025.09.26
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母が入院し「差額ベッド代」を請求されました。個室じゃないのに自己負担になるのはなぜでしょうか?
入院費用といえば、健康保険でカバーされる部分が大半のはず……。そう思っていたのに、退院時の請求書にあった「差額ベッド代」の文字に驚いたという方もいるでしょう。
 
しかも、「個室ではなく2人部屋や3人部屋だったのに、なぜ全額自己負担なの?」といった疑問を抱く方も多いはずです。そこで本記事では「差額ベッド代」とは何なのか、なぜ個室でなくても費用がかかるのか、その仕組みや注意点について解説します。
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差額ベッド代とは? 保険外の「快適料」

差額ベッド代とは、一般的な病室(多床室)ではなく、少人数の部屋や個室を利用した場合にかかる追加費用のことです。これは、医療の対価ではなく、病室の快適さやプライバシーの確保に対して支払う料金であるため、健康保険の対象外で全額自己負担になります。
 
個室でなく、1つの部屋に4人以下で1人あたりのスペースが一定以上ある部屋も、差額ベッド代の対象になるため注意が必要です。ただし、医師が治療のために個室を使う必要があると判断した場合や、病院の都合で個室を使うことになった場合は、この料金はかかりません。
 

個室じゃないのに差額ベッド代がかかるのはなぜ?

「個室に入っていないのに請求されるなんておかしい」と感じるかもしれませんが、実は、差額ベッド代が発生する病室は「4床以下」と決まっています。これは厚生労働省が決めた、「特別療養環境室」の基準によるもので、次の条件を満たした部屋が対象です。


・病室のベッド数が4床以下であること
・1人あたりの広さが6.4平方メートル以上あること
・プライバシーを守るためカーテンや仕切りがあること
・それぞれのベッドに収納、照明、小さな机やいすが備え付けられていること

そのため、2人部屋や3人部屋でもこれらの条件を満たしていれば、差額ベッド代が請求される可能性があるのです。
 

差額ベッド代の発生には「本人の同意」が必要

差額ベッド代は、患者または家族が希望して、説明を受けたうえで同意書にサインした場合にだけ請求されます。入室した場合にのみ請求が認められます。
 
そのため、以下のような状況では、差額ベッド代は本来請求されないことになっています。


・病院側の都合で空いている大部屋がなく、個室や少人数部屋に入れられたとき
・感染症の治療など、医師が治療のために個室を使う必要があると判断したとき
・患者や家族の同意が取れていないとき

「同意書にサインしたかどうか」は、重要なポイントになります。もし、説明を受けた記憶がない、サインしていないという場合は、病院に確認してみましょう。
 

実際の金額はいくらくらい?

差額ベッド代の金額は病院によって異なりますが、厚生労働省の「第548回中央社会保険医療協議会 主な選定療養に係る報告状況」によると、令和5年7月現在の全国平均は以下の通りです。


1人部屋:1日あたり約8437円
2人部屋:同 約3137円
3人部屋:同 約2808円
4人部屋:同 約2724円

例えば、3人部屋で1日3000円の差額ベッド代がかかるとして、10日間入院すれば3万円の自己負担となります。入院期間が長引けば、さらに大きな負担になることは言うまでもありません。
 

トラブルを防ぐために気をつけたいこと

差額ベッド代は、請求されて初めて気づくケースが多い費用です。トラブルを避けるために、入院するときは以下のポイントをしっかり確認しましょう。


・病室の種類(何人部屋か)
・差額ベッド代の金額(1日いくらかかるのか)
・差額が発生する理由(本人の希望か病院の都合か)
・同意書の有無(きちんと説明を受けて署名しているか)

もし、本人の意思に反して特別室に入れられて差額ベッド代を請求された場合は、病院の相談窓口に相談しましょう。それでも解決しないときは、お住まいの地域の地方厚生局や病院にいる医療ソーシャルワーカー、あるいは消費生活センター(電話188番)へ相談することができます。
 

納得できる選択をするために

差額ベッド代は、医療費とは別にかかる「快適さのための追加料金」です。自分で希望して利用する分には問題ありませんが、知らないうちに請求されると、納得できないこともあります。
 
大切なのは、入院前に説明を受け、料金や内容に納得したうえで同意することです。入院は急に決まることも多く慌ただしいですが、差額ベッド代については「なんとなく」ではなく、しっかり確認しましょう。
 

出典

埼玉県 差額ベッド(特別療養環境室)について
厚生労働省 第548回中央社会保険医療協議会 主な選定療養に係る報告状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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