娘が「大学受験に失敗したくない」と塾通いを希望!「月10万円」かかるけど、世帯年収800万円のわが家でも通わせるべき? 高校生の「3~4割」が塾に通う現状とは
そう言って高校生の娘が差し出してきたのは、月額10万円の塾の見積書でした。思わず夫婦で顔を見合わせ、「そこまで出す必要があるの?」「そもそも塾に行かないと合格できないの?」と不安と疑問が頭をよぎりました。
本記事では、文部科学省が公表している「令和5年度 子供の学習費調査」および「令和6年度 学校基本調査」のデータをもとに、世帯年収800万円の家庭が塾代として月10万円支払うことが妥当なのかを考えます。
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目次
高校生の3~4割が塾に通う現状。通信教育・家庭教師も約2割が利用
文部科学省の調査によると、全日制高校に通う生徒のうち、公立で38.7%、私立で30.1%が塾代を支出しています。つまり、高校生のおよそ2~3人に1人は塾に通っていると考えられます。
さらに、ここ数年の高校の卒業生の大学・短大(本科)進学率は約60%であることをふまえると、進学を希望する生徒に限定した場合の通塾率はさらに高いと言えるでしょう。
なお、通塾していないからといって、学校の勉強のみとは限りません。同調査によれば、公立・私立ともに約20%の生徒が通信教育や家庭教師を利用しており、「近くに通える塾がない」「大人数だと集中できない」といった理由から、通信教育や家庭教師を選ぶケースもあるようです。
月10万円の塾代はかなり高額? 平均費用との比較
では、実際に塾にかけている金額はどれくらいなのでしょうか。文部科学省の同調査によると、高校生(全日制)の塾代の年間平均額は以下のとおりです。
公立高校生:年間約38万2000円(月あたり約3万1800円)
私立高校生:年間約37万5000円(月あたり約3万1300円)
つまり、月10万円という塾代は、平均の約3倍以上に相当し、かなり高額な支出といえます。
年収800万円台の家庭では、塾代は月2万円程度が一般的
塾代の負担感は、家庭の年収によっても異なります。同調査によれば、世帯年収800~999万円の家庭が高校生の補助学習費(塾・家庭教師・通信教育など)にかけている年間の平均額は図表1の通りです。
●公立高校:年間24万円(月2万円)
●私立高校:年間16万2000円(月1万3500円)
図表1
文部科学省 結果の概要 令和5年度子供の学習費調査
年収1200万円以上の家庭でも、補助学習費の平均額は以下の通りになっています。
●公立高校:年間31万6000円(月2万6000円)
●私立高校:年間39万9000円(月3万3000円)
つまり、月10万円=年間120万円という塾代は、どの年収層と比較しても平均を大きく超える突出した支出です。
年収800万円台の家庭が月10万円を塾代に充てるというのは、平均の5倍にあたる教育投資をしていることになり、家計へのインパクトは決して小さくありません。
月10万円の塾代、本当に必要か見極めを
「塾に行かないと受からないのでは」と子どもが焦る気持ちも分かりますが、全員が通っているわけでもなければ、高額な塾代がそのまま合格に直結するわけでもありません。
進学を希望する高校生の通塾率は高いですが、塾代の水準は家庭によってさまざまです。子どもの学力や志望校、家庭の経済状況に応じて、必要な投資かどうかを冷静に見極めたいものです。
出典
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要
文部科学省 令和6年度学校基本調査(確定値)について公表します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

