子どもが大学進学しましたが、我が家の家計では「仕送り」ができません。「奨学金だけ」で生活するのは可能でしょうか?
実際、仕送りなしで大学生活を送る学生も存在しますが、生活費や学費の工面には工夫が必要です。本記事では、奨学金のみでの生活が可能かどうかを検討し、現実的な対策やポイントを紹介します。
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目次
奨学金だけで生活することはできる?
子どもが大学に進学したものの、家計の状況から仕送りが難しいご家庭は少なくありません。その場合、「奨学金だけで本当に生活できるのだろうか? 」という不安を感じるのは自然なことです。
実際には、仕送りなしで生活している学生もいます。全国大学生活協同組合連合会の「学生生活実態調査(2024年)」によると、下宿生のうち、親からの仕送りが月0円というケースは全体の6.9%。多くは、奨学金やアルバイト収入を組み合わせて生活費を賄っています。
ただし、仕送りなしでの生活は決して楽ではなく、しっかりとした計画と工夫が必要です。
奨学金だけでは生活費をカバーしきれない理由
日本学生支援機構の貸与型奨学金(第一種・第二種)では、月額2万円~12万円(1万円単位)で借りられます。
仮に月8万円の奨学金を受け取れたとしても、家賃・食費・光熱費・通信費などをまかなうにはやや不十分です。たとえば、都心部で一人暮らしをする場合、以下のような出費が予想されます。
●家賃:5〜7万6000円
●食費:2万5000円〜4万5000円
●光熱費・水道代:8000円~1万円程度
●通信費(スマホ・Wi-Fi):7000円~1万4000円
●雑費・学用品・交通費:1万円〜2万円
合計すると、最低でも月12万円程度は必要になります。したがって、奨学金だけではどうしても生活が成り立たないことが多いのです。
アルバイトと節約で不足分を補うことがカギ
奨学金の不足分を補う方法として、もっとも現実的なのがアルバイトです。大学生の平均的なアルバイト収入は月5万円台が最も多いですが、3万円台から8万円台まで幅があります。
授業や課題との両立を考えると、働きすぎには注意が必要ですが、週2〜3回程度の勤務でも生活の足しにはなります。一方で、支出を抑える工夫も非常に重要です。具体的には、以下のような対策があります。
●家賃の安い物件を探す:大学から少し離れていても家賃が安ければ、毎月の固定費を大きく抑えられます。
●自炊をする:外食やコンビニ食を控え、スーパーで食材を買って自炊することで食費を大幅に抑えられます。
●大学の制度を活用する:授業料の減免制度、大学独自の奨学金、無料の学食券配布など、支援制度は積極的に利用しましょう。
また、生活費の管理が甘いと、奨学金とアルバイト収入があっても赤字になります。予算を立て、月ごとの支出を記録する習慣をつけると、無駄な出費を防げます。
奨学金の種類と注意点
奨学金には大きく分けて「給付型」と「貸与型」があります。
●給付型奨学金:返済の必要がない。日本学生支援機構や大学、自治体が提供。成績や収入状況によって審査がある。
●貸与型奨学金:卒業後に返済義務がある。第一種(無利子)と第二種(有利子)に分かれる。
仕送りができないご家庭では、まず給付型を検討するのがおすすめです。収入要件が厳しい場合もありますが、対象になるなら大きな支援になります。
貸与型の場合、借りすぎに注意しましょう。将来的に月1万円台から数万円の返済を10年から20年程度続けることになるため、生活に支障が出ない範囲での借入を心がけましょう。
奨学金だけでも生活はできるが、工夫と支援活用が不可欠
仕送りが難しい家庭でも、奨学金とアルバイトを組み合わせ、生活費を抑える工夫をすれば、大学生活を送ることは可能です。特に、大学の支援制度や家計の見直し、生活習慣の改善は大きな助けになります。
子どもと一緒に、生活費の見通しを立て、どのような支援が受けられるのかを早めに調べることが大切です。家計の負担を抑えつつも、充実した学生生活が送れるよう、できることから少しずつ備えていきましょう。
出典
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
