仕送り「月5万円」＋スマホ代と定期代も親持ち。これって今の大学生では当たり前なのでしょうか？

大学生活では、生活費の多くを親からの仕送りに頼っている学生が少なくありません。「月5万円の仕送りに加えて、スマホ代や定期代も親が支払っている」という話を聞くと、「それって普通なの？」と疑問に思う人もいるでしょう。
 
そこで本記事では、実際のデータをもとに、現在の大学生の仕送り事情や親の支援の実態について解説します。

大学生の仕送り平均額はどのくらい？

大学生の生活は、仕送りの有無や金額によって大きく左右されます。実際に、今の大学生はどのくらいの仕送りを受け取っているのでしょうか？ 調査データをもとに、平均額やその内訳を見ていきましょう。
 
全国大学生活協同組合連合会が行った「第60回学生生活実態調査」（調査期間：2024年10～11月、回答数：1万1590 人）によると、下宿生への仕送りの平均額は月7万2350円でした。この金額には家賃を含む場合が多く、家賃を親が直接支払っている家庭では生活費のみの仕送りとなり、月3〜5万円前後になるケースもあります。
 
地域別に見ると、首都圏など家賃の高い都市部では家賃込みで月7～10万円以上が必要となることが一般的です。一方、実家から通っている学生は基本的に仕送りがなく、家庭の経済状況や兄弟姉妹の有無によって異なります。
 
また、仕送りの金額は毎月一定ではなく、入学時やテスト前後など、タイミングによって変動することもあります。さらに、入学初年度は引っ越しや家電等の購入費がかかるため、仕送りが多くなる傾向も見られます。
 

スマホ代や定期代、親が出すのは普通？

スマホ代や定期代を誰が支払っているかは、家庭によって違いがあります。
 
スマホ代は、月3000～7000円程度が一般的です。
 
スマホ代を親と子のどちらが支払っているかというと、KDDI株式会社（本社：東京都千代田区）の「スマホ代支払い実態調査」（調査日：2024年3月15日、18日、サンプル数：大学卒業生298人、保護者184人）によれば、親が支払っている人が82.9％という結果でした。ただし、新社会人になる際に69.5％の人が自分で支払いたいと思っているようです。
 
定期代は、親が負担する場合と学生自身が自分でアルバイト代から支払う場合があります。電車やバスの定期券代は、通学距離によって月数千～数万円と大きく異なるため、親が支払っているかどうかも家庭ごとに差が出るポイントです。
 
大学によっては、独自の通学補助や学割制度を活用できる場合もあり、これらの制度を活用することで負担を減らすこともできます。
 
つまり、「親がスマホ代や定期代を支払っている」というケースは珍しくなく、特に都市部で通学している学生には比較的一般的といえるでしょう。
 

仕送りだけで生活は足りるのか？

仕送りの平均が月7万円程度と聞くと、それだけで生活できるのか疑問に思う人もいるかもしれません。上記の「第60回学生生活実態調査」によると、大学生の生活費の平均は月13万1710円とされており、仕送りだけでは不足するのが現実です。
 
その差額を補うため、多くの学生はアルバイトや奨学金を活用しています。
 
同調査によると、大学生のアルバイト収入の平均は月3万7540円、奨学金の平均受給額は1万9140円となっていますが、仕送りと合わせてようやく生活が成り立つというケースが多いのです。このことから、学生の多くが親の支援だけに頼らず、自分で稼ぐ努力をしていることが分かります。
 
また、仕送りや収入が少ない学生は、学食活用やまかない付きのアルバイト食費を切り詰めたり、日用品をできるだけ安く済ませたりするなど、節約にも工夫を凝らしています。これらの工夫は、大学生活で身に付けるべき重要なマネーリテラシーといえるでしょう。
 

家庭ごとに支援の形は違う、比べすぎなくてOK

「月5万円の仕送りに加えて、スマホ代や定期代も親持ち」というスタイルは、特別珍しいわけではありません。ただし、それが「当たり前」かどうかは一概にはいえず、家庭の方針や経済状況によって支援の内容は大きく異なります。
 
周囲との比較で不安を感じても、各家庭で無理のない範囲で支援されているかぎり問題ありません。大切なのは、家族としっかり話し合い、納得したうえで持続可能な支援プランを構築することです。
 
経済的困難を感じた場合は、奨学金制度の利用や生活費の見直しも検討するとよいでしょう。大学生活は、自立に向けた第一歩です。限られた資金のなかでやりくりする力も、社会に出るための大切な経験になります。
 

出典

全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
KDDI株式会社 スマホ代支払い実態調査（マイライフニュース）
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー