高校生の娘が1人で「東京」へ→警察から「財布を落としたお子さんに、1000円貸します」と電話が! これって詐欺? 警察がお金を貸すことはあるの?
結論からいえば、警察が1000円を貸してくれる制度は存在します。今回は、あまり知られていないけれど、いざというときに役立つ「公衆接遇弁償費(こうしゅうせつぐうべんしょうひ)」という制度を紹介します。
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目次
警察がお金を貸すことはある? 答えは「YES」
公衆接遇弁償費とは、財布の紛失や盗難などで困っている市民に対して、交通費などの最低限の費用を一時的に貸す制度です。
全ての都道府県で導入されているわけではありませんが、東京や千葉、大阪などを含む14都道府県で導入されています。
対象になるのは「家族や友人に頼れない人」
公衆接遇弁償費は、原則として自力での帰宅が困難で、家族や友人に迎えを頼めない人が対象です。高校生が1人で東京へ来て、遠方のため家族が迎えに来られない場合などは利用対象といえるでしょう。
上限金額は? どうやって返すの?
都道府県によって制度の名称や金額は異なりますが、貸し出し額の上限は多くの自治体で1000円前後です。東京都や千葉県では1000円が基本ですが、深夜や遠方在住の場合は上限を超えて貸してもらえることもあります。
借りるときは「借受書」を書く必要あり
警察署や交番では、借りる本人が公衆接遇弁償費借受願書兼借受書(借受書)に氏名や住所、年齢、電話番号などを記入します。
後日借りた交番に返済する
お金は原則として借りた交番・警察署に返しますが、遠方の場合は自宅近くの交番でも返済可能です。その際、貸し出し時に受け取った公衆接遇弁償費返済書を提示します。
未成年は親の同意が必要なため、警察から電話が来る
未成年が公衆接遇弁償費を使うには、親権者(保護者)の同意が必須です。
これは、民法により「未成年者が金銭の貸借契約を結ぶには法定代理人の同意が必要」とされているためです(民法第5条)。
そのため、未成年が交番でお金を借りようとした場合、警察は必ず親へ連絡を取ります。
つまり、「財布を落として困っています。1000円お貸ししてもよいですか?」という電話は、制度に基づく正規の連絡である可能性が高いのです。
とはいえ「警察を名乗る詐欺」もある。確認すべき3つのポイント
制度は実在しますが、それを装った詐欺もゼロではありません。念のため、以下のポイントを確認しましょう。
1. 本人と直接話す
まずは、子ども本人に代わってもらい、本当に困っているのかを確認しましょう。
2. 電話番号をチェック
かかってきた番号が、実在の警察署の番号かどうかをWeb検索などで確認しましょう。警察官が個人の携帯から連絡することはほぼありません。
3. 「現金を取りに来る」などの話が出たら詐欺を疑う
警察が自宅に現金を取りに来ることや、ATMでの振り込みを指示することは絶対にありません。そういった場合は詐欺を疑いましょう。
警察がお金を貸す制度はあるけれど、確認は必要
「警察が1000円を貸す」なんて一見すると怪しく感じますが、公衆接遇弁償費は実際に存在する制度です。特に未成年がトラブルにあった際など、いざというときにはありがたい仕組みでもあります。
とはいえ、本物かどうかを見極めることは大切です。本人と話す・電話番号を確認する・不自然な指示がないかをみる。これらを徹底することで、正しい制度を安心して利用できるようになります。
出典
警視庁 公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について
群馬県 地域警察官等公衆接遇費の取扱いについて(例規通達)
e-Gov法令検索 民法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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