「建設コスト」の高騰により中野の「大規模再開発」が見直しになるそうです。「住宅の建設コスト」も上がっているのでしょうか?

配信日: 2025.05.04 更新日: 2025.09.26
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「建設コスト」の高騰により中野の「大規模再開発」が見直しになるそうです。「住宅の建設コスト」も上がっているのでしょうか?
近年、老朽化や防災設備の強化などを理由として、都市部の再開発が積極的に行われています。中野駅周辺もそのうちのひとつで、複数のエリアでの再開発計画が進行中です。
 
ところが、2025年に旧中野サンプラザ跡地の再開発計画が事実上白紙になってしまったという報道がなされ、その原因のひとつは建設コストの高騰とのことでした。この建設コストの高騰は、再開発などの大規模な工事だけではなく、一般住宅の建設にも影響があるのでしょうか。当記事で詳しく解説します。
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「中野サンプラザ」の再開発が事実上の白紙に。理由は「建設コストの増加」

中野駅周辺では近年再開発のプロジェクトが活性化しており、実に10以上ものエリアが再開発計画の対象となっています。2023年に50年の歴史に幕を閉じた旧中野サンプラザ周辺の地区においても、新たな複合施設の建設を含めた事業開発を予定していました。
 
ところが、2025年3月に旧中野サンプラザ跡地に予定していた複合施設の再開発が、事実上白紙になるという報道がなされました。
 
これは、開発担当の計画変更案を中野区が認めない方針を発表したことによるものです。なぜ施工予定事業者が計画を変更せざるを得なかったかというと、本来想定していたコストよりも大幅に建設費が膨れ上がってしまったことが要因とされています。
 
区は、「今後、中野区の顔となる特別な場所で進める提案としては必ずしも十分ではない」と判断し、現在の枠組みでの再開発を断念する方針を明らかにしています。
 

住宅建築資金も上昇傾向

では、なぜ再開発計画案を白紙にしなければならないほど、建設コストが大幅に膨れ上がってしまったのでしょうか。実は、住宅やビルの建設工事費は近年上昇傾向にあり、これには資材費の高騰や建設業の働き方改革による人件費の増加などさまざまな要因が積み重なっています。
 
実際に、前述の中野サンプラザ再開発のプロジェクトにおいても、当初の予定からなんと900億円もの事業費の上振れが生じたと報道されています。
 
これは、再開発やインフラなどの大規模な建設工事だけでなく、一般住居などの建設費にも大きな影響を及ぼしています。
 
国土交通省住宅局が発表している「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によれば、注文住宅の住宅建築資金(土地購入資金を除く)の全国平均を比較したところ、2020年度は3168万円だったのに対し、わずか3年後の2023年度には4319万円に膨れ上がっていることが分かりました。
 

「住宅購入」の影響は? 早めの決断も重要

この短期間での建設工事費の高騰は、コロナ禍によるロックダウンで流通が停止してしまったことや、世界的なインフレと円安といった情勢も影響しています。特に日本は木材などの建材を多くの国から輸入しており、資材調達が困難になったことも原因のひとつといわれています。
 
コロナ禍の影響は少しずつ落ち着いてきているものの、他にも価格高騰の要因が重なっており、高止まりを続けているのが現状です。
 
また、建設費の上昇という観点だけでなく、国内においては現行の「住宅ローン減税」制度が2025年末に終了する予定であることも大きく影響するでしょう。2025年度は前年から期限が延長された経緯がありますが、2026年以降も引き続き適用されるのかは今のところ発表されていません(2025年4月現在)。
 
もしも、確実に住宅ローン減税の控除を受けたい場合は、2025年中に手続きを済ませるように計画を立てると安心です。
 

まとめ

建設コストは今後も高止まりもしくは上昇することが予想され、住宅の建設を検討している方は早めに計画を立てたほうがコストの上昇を抑えられる可能性があります。また、少しでもコストを抑えるための工夫として、中古物件の購入に切り替えたり、なるべく価格上昇率の低い郊外のエリアを狙ったりするのもよいかもしれません。
 

出典

国土交通省住宅局 令和5年度住宅市場動向調査報告書 3. 注文住宅に関する結果 3.4 資金調達に関する事項 3.4.1 購入資金 (1)住宅建築資金(116ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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