ネットで「健康保険証の色で年収がわかる」という記事を見ました。「マイナ保険証」で年収はバレないですよね?

配信日: 2025.05.06

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ネットで「健康保険証の色で年収がわかる」という記事を見ました。「マイナ保険証」で年収はバレないですよね?
ネット上では、健康保険証の色で年収が分かるといううわさやマイナ保険証を使用すると年収がバレるといううわさもあります。従来の健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行している中、マイナ保険証の利用に不安を感じている方も多いでしょう。
 
本記事では、健康保険証の色で年収が分かるといううわさやマイナ保険証を使うと年収がバレるといったうわさの真相を解説します。
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「健康保険証の色で年収が分かる」といううわさは本当?

健康保険証の色は、加入している保険の種類や保険者によって異なります。組合によって同じような色が使われるケースもあるため、年収を見分けるのは困難です。特に、国民健康保険は都道府県や市町村が運営しているため、地域や年によって色が変わるケースも少なくありません。
 
ただし、加入している組合や本人の勤務先から職業や企業規模を推測できる可能性はあります。
 

「マイナ保険証を使うと年収がバレる」といううわさの真相

2023年5月31日の特別委員会厚生労働委員会連合審査会では、ある国会議員が以下のように発言しました。
 
「(前略)顔見知りのいつもいらっしゃる患者さんの年収まで見えてしまうのよ、そんなの見たくないんだけどという声もある(後略)」
 
この発言から、マイナ保険証を使うと年収がバレるといううわさが一部で広まりました。しかし、これは高額療養費制度の自己負担上限額から、年収が推測できるというのが真相のようです。
 
高額療養費制度とは、医療費が1ヶ月あたりの上限額を超えた場合に超えた分の金額を支給する制度で、所得や年齢に応じて自己負担上限額が決められています。自己負担額を限度額にするために医療機関に提出する限度額適用認定証にも区分が記載されているため、マイナ保険証を使用しなくても区分が分かる仕組みです。
 

「高額療養費制度」の自己負担上限額と年収の関係

ここでは、高額療養費制度の自己負担上限額(2025年5月1日時点)と年収の関係を解説します。69歳以下の場合を表1に、70歳以上の場合を表2にまとめました。
 
表1

適用区分 1ヶ月の上限額(世帯ごと)
年収約1160万円~ 25万2600円+(医療費-84万2000円)×1パーセント
年収約770万~約1160万円 16万7400円+(医療費-55万8000円)×1パーセント
年収約370万~約770万円 8万100円+(医療費-26万7000円)×1パーセント
年収~約370万円 5万7600円
住民税非課税世帯 3万5400円

出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作成
 
表2

適用区分 1ヶ月の上限額(世帯ごと) 外来(個人ごと)
年収約1160万円~ 25万2600円+(医療費-84万2000円)×1パーセント
年収約770万~約1160万円 16万7400円+(医療費-55万8000円)×1パーセント
年収約370万~約770万円 8万100円+(医療費-26万7000円)×1パーセント
年収156万~約370万円 5万7600円 1万8000円(年14万4000円)
II 住民税非課税世帯 2万4600円 8000円
I 住民税非課税世帯 1万5000円 8000円

出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作成
 

まとめ

健康保険証の色は、加入している保険や保険者によって異なりますが、年収によって色が区別されているわけではありません。マイナ保険証にも年収情報は含まれていないため、年収の推測はできないでしょう。
 
ただし、高額療養費制度を利用する場合は適用区分によって年収を把握できてしまうおそれがあります。なお、従来の限度額適用認定証にも区分は記載されているため、マイナ保険証を使用しなくても区分は分かる仕組みです。
 

出典

国立国会図書館 第211回国会 参議院 地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会、厚生労働委員会連合審査会 第1号 令和5年5月31日
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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