大学2回生の息子は「大学院」へ進学希望です。「奨学金」を「4年間で200万円」ほど利用する予定ですが、追加で借りられますか?
配信日: 2025.05.09

今回は、大学院進学時に活用できる奨学金制度の基本的な仕組み、現在の奨学金に追加で借り入れが可能かについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
大学院に進学後、奨学金は追加で借りられる? 基本的な仕組みを確認
大学生時代に奨学金を借りていても、大学院生向けの奨学金を追加で利用可能です。ただし、学部時代の奨学金の貸与がそのまま継続されるわけではありません。大学院進学時、もしくは進学後に改めて申請しなければならない点に注意しましょう。
例えば、独立行政法人日本学生支援機構では、大学院生向けの貸与型奨学金を、一部の大学院をのぞいて提供しています。無利子で貸与される「第一種奨学金」と有利子で貸与される「第二種奨学金」の2種類があり、申請条件や貸与金額が異なる点に注意が必要です。
また同機構では、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」を利用できなかった方などを対象に、「入学時特別増額貸与奨学金」を用意しています。これは、入学時の一時金として、入学月の奨学金に10万円から50万円までの希望額を有利子で追加貸与してもらえる奨学金です。
さらに、「授業料後払い制度」と呼ばれる奨学金もあります。日本学生支援機構が授業料を立て替えて学校に支払い、卒業後に所得に応じて返還する仕組みです。
なお、貸与型だけでなく、返還の必要がない給付型の奨学金を提供している団体もあります。
予約採用と在学採用の違いと申請条件
大学院で奨学金を借りる場合、進学前に手続きが必要となる「予約採用」と、進学後に手続きが必要となる「在学採用」の2つの申し込み方法があります。
予約採用は、大学4年生の段階で申請し、採用が決まれば進学後に自動的に貸与が始まります。
一方、在学採用は大学院入学後に申請し、選考を経て採用が決定する採用方法です。一部の大学院では予約採用制度がない場合もあるため、注意しましょう。
また、申請にあたっては、家計状況や学業成績などが条件となります。条件の詳細は奨学金ごとに異なるため、気になる奨学金があれば、確認するとよいかもしれません。
大学院で貸与を受けられる奨学金の額
貸与の金額は、奨学金によって違いがあります。日本学生支援機構によれば、2024年度時点での大学院生向けの貸与額は表1の通りです。
表1
種類 | 月額 |
---|---|
第一種(無利子) | 5万円/8万8000円(修士課程) |
第二種(有利子) | 5万円/8万円/10万円/13万円/15万円 |
入学時特別増額貸与奨学金 | 10万円/20万円/30万円/40万円/50万円 |
※日本学生支援機構を基に筆者作成
学部時代から引き続き奨学金を借りる場合、将来の返還総額が増える点には注意が必要です。進学費用をどこまで奨学金で補うか、家庭でもよく相談し貸与月額を決めるとよいでしょう。
奨学金は追加で利用できる! ただし成績や家計などに条件が設けられている
大学で奨学金を借りている場合でも、大学院生向けの奨学金を追加で利用可能です。ただし、学部時代の奨学金の貸与がそのまま継続されるわけではない点に注意が必要です。
また、成績や家計の基準を満たす必要があり、申請すれば誰でも借りられるわけではありません。申請条件は奨学金によって違いがあるため、大学院への進学を決めたら、情報の収集を始めるといいでしょう。
なお、学部時代から奨学金の貸与を受けていた場合、大学院の卒業までに貸与を受ける奨学金の総額は当然多くなります。将来の負担になる可能性もあるため、貸与型だけでなく、給付型の奨学金も検討するとよいかもしれません。
無理のない返還計画を立てながら、安心して進学できる環境を整えていきましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 第一種奨学金の貸与月額 平成30年度以降入学者の貸与月額
独立行政法人日本学生支援機構 第二種奨学金の貸与月額
独立行政法人日本学生支援機構 入学時特別増額貸与奨学金 入学時特別増額貸与額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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