少子高齢化が進むと「公共サービス」の一部が使えなくなる? 意識していなかった「公共サービス」の費用を解説

配信日: 2025.05.10

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少子高齢化が進むと「公共サービス」の一部が使えなくなる? 意識していなかった「公共サービス」の費用を解説
日本では少子高齢化や人口減少が進行しており、日常的に利用している公共サービスや公共施設の運営にも、大きな影響が及ぶ可能性があります。
 
ごみ収集、警察、消防、学校、道路整備といった身近なサービスも例外ではなく、暮らしの質や安全に直結するため、現状を理解しておくことは大切です。
 
本記事では、少子高齢化や人口減少の現状、公共サービスや施設の運営にかかる費用などについて解説します。
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出生数の減少が続き、少子高齢化が進む

日本では少子高齢化が進行しており、特に出生数の減少が深刻な問題となっています。
 
厚生労働省が発表した「令和5年人口動態調査」によると、令和5年の出生数は72万7277人で、前年に比べて4万3482人も減少しました。これは前年比で約5.6%の減少にあたり、出生率も6.0%(前年は6.3%)、合計特殊出生率も1.20%(前年は1.26%)と、いずれも前年を下回る結果となっています。
 
日本国内で最も出生数が多かったのは、第1次ベビーブームの昭和24年で、この年は269万6638人が誕生しています。また、第2次ベビーブーム中の昭和48年にも、209万1983人という高い出生数を記録しました。
 
少子化が進行する一方で、日本人の平均寿命は年々延び続けています。
 
厚生労働省が公表した「令和5年簡易生命表の概況」によれば、令和5年の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳でした。前年と比較して男性が0.04年、女性が0.05年とそれぞれ平均寿命が延びています。
 
なお、過去の平均寿命は以下のとおりです。
 

・昭和22年:男性50.06歳、女性53.96歳
・昭和50年:男性71.73歳、女性76.89歳
・平成12年:男性77.72歳、女性84.60歳
・平成27年:男性80.75歳、女性86.99歳
・令和5年:男性81.09歳、女性87.14歳

 
また、2025年4月1日時点の日本の総人口は1億2340万人で、前年同月と比べて約60万人の減少となっています。このように、日本は少子化と高齢化が進行するなかで、人口全体も着実に減少し続けているのが現状です。

 

公共サービスや公共施設の運営にかかる費用

公共サービスや公共施設を維持・運営するには、多くの財源が必要とされます。主な公共サービス・施設で1年間にかかる運営費用は、以下のとおりです。
 

<財務省「財政学習教材 日本の財政を考えよう」より>

・公立学校に通う児童生徒1人あたりの教育費……小学校:約98万円、中学校:約114万円、高校(全日制):約133万9000円
・国民1人あたりの医療費……64歳以下:約2万7000円、65~74歳:約7万9000円、75歳以上:約32万2000円
・道路、堤防などを整備する費用: 18兆4000万円(国民1人あたり約14万7000円)
・ごみ処理費用:2兆5000億円(国民1人あたり約2万円)
・警察にかかる費用:3兆3000億円(国民1人あたり約2万7000円)
・消防にかかる費用:2兆円(国民1人あたり約1万6000円)
※教育費と医療費は2021年度、それ以外は2022年度

 
このように、公共サービスや施設の運営には多額の費用がかかっており、その財源は私たち国民の税金によって支えられています。

 

少子高齢化や人口減少が進むと公共サービスの運営に支障が出る恐れも

少子高齢化が進むことで、生産年齢人口が減少し、働く人の数が少なくなっていきます。さらに、人口そのものが減っていくと、国や地方自治体の税収も減少していくことになります。
 
税収の減少は、公共施設やサービスの質の低下、規模の縮小、維持管理の継続が難しくなるといった事態を招く可能性があり、社会全体にとって深刻な課題です。

 

少子高齢化や人口減少を身近な問題として考えよう!

少子高齢化や人口減少は、身近な公共施設やサービスの運営にも影響を及ぼします。
 
今は、住んでいる地域で大きな支障が見られないかもしれませんが、将来的には公共サービスの質の低下や施設の縮小といった問題が生じる可能性も十分に考えられます。
 
少子高齢化や人口減少が、私たちの暮らしに深く関わる重要な課題であることを理解し、それぞれができることから少しずつ行動を始めていくことが大切です。

 

出典

厚生労働省 令和5年人口動態統計(確定数)の概況
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
総務省統計局 人口推計(2024年(令和6年)11月確定値、2025年(令和7年)4月概算値)
財務省 財政学習教材 日本の財政を考えよう
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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