入院が月をまたぐと「高額療養費」の判定が2回にわたり医療費の「自己負担額」が増える?高額療養費制度の仕組みとは
ただし、高額療養費制度は医療費を1ヶ月単位で計算するため、入院が長引いて月をまたいでしまうと自己負担額が増える場合があるため注意が必要です。
そこで本記事では、高額療養費制度の仕組みと、月をまたいだ入院における自己負担額について解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
高額療養費制度の仕組み
高額療養費制度とは、病院や薬局での支払額が自己負担の上限を超過した場合に、超えた分の金額を後から払い戻してもらえる制度です。払戻金額は、月初から月末までの1ヶ月単位で算出します。
また、負担しなければならない上限額は、どんな人でも不安なく医療を受けられるように、所得水準や年齢によって個別に定められています。
なお、高額療養費制度の対象となるのは、公的医療保険のみです。差額ベッド代や食事代、保険外診療などは対象外となっています。
月をまたぐと医療費の自己負担額はどうなる?
上記の通り高額療養費は1ヶ月単位で計算されるため、月をまたいでの入院となる場合は、高額療養費が2回発生する可能性があります。
例えば、38歳で年収450万円の人が1ヶ月の範囲内で入院し、医療費が80万円かかった場合、医療費の負担額は以下の通りです。
●自己負担の上限額:8万100円+(80万円-26万7000円)×1%=8万5430円
●実際に負担する金額:8万5430円
続いて、同じ人が2ヶ月にまたがる入院をして、医療費が各月40万円の計80万円だった場合は、医療費の負担額は以下のようになります。
●自己負担額の上限額(1ヶ月):8万100円+(40万円-26万7000円)×1%=8万1430円
●実際に負担する金額:8万1430円×2ヶ月=16万2860円
上記の2パターンを比べてみると、医療費の総額が変わらなくても、月をまたいで入院すると自己負担額が大きく増える可能性があることが分かります。
この計算例は2ヶ月とも医療費が高額療養費の対象となるケースを想定しています。しかし、実際の医療費がより低い場合は、月をまたぐことで医療費が各月に分散され、各月の医療費が高額療養費の基準額に達せず、制度の適用対象から外れてしまうことも考えられるでしょう。
したがって、高額療養費制度をうまく使って医療費の負担額をできる限り下げるためには、入院や手術は同じ月内におさめることが重要です。
月をまたいで入院すると、医療費の自己負担額が増える可能性がある
高額療養費制度は医療費の自己負担を軽減できる制度ですが、払戻金額は月初から月末までの1ヶ月単位で算出します。そのため、入院が月をまたいでしまった場合、高額療養費の判定が2回にわたって発生することになり、自己負担額が増える可能性があります。
入院や手術の日程を調整できる場合は、月初から月末までの1ヶ月間にスケジュールを収めると、高額療養費制度の恩恵を大きく受けられるでしょう。
出典
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
