タクシーに乗ったら「シートベルなしは違反になるので…」と、着用を促された! 乗ったのは「後部座席」だったけど、本当に必要? 同乗者の自分にも“罰則”はあるのでしょうか?
タクシーに乗った際、そう促された経験がある人もいるのではないでしょうか。
運転席や助手席でのシートベルト着用は常識として認識されている中で、後部座席に関しては認識に差があるのが実情です。実際、警察庁とJAFによる2024年の調査では、一般道路における後部座席のシートベルト着用率は45.5%にとどまっています。
しかし、違反をすると運転手が罰則の対象となり、事故にあえば同乗者自身も身体的にも経済的にも大きな負担を抱えることになります。
本記事では、見落とされがちな「後部座席のシートベルト着用義務」について、法律面と経済面から詳しく解説します。普段から自動車を利用する人はぜひ参考にしてください。
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後部座席でのシートベルト着用は義務。法律上どう定められている?
シートベルトの着用義務については、2008年の法改正によって、後部座席においても原則全ての乗車者に着用が義務づけられました。
道路交通法第71条の3では「運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない」と、明確に定められています(ただし、幼児や疾病などやむを得ない理由がある場合は例外とされています)。
しかし、後部座席での着用率は依然として低く、高速道路走行中においても79.7%にとどまっています。
また、ソニー損保が2024年7月に行ったカーライフ実態調査では、「後部座席での非着用が違反になる」と認識していた人は48.3%にとどまりました。この結果から、半数以上がいまだに義務化の事実を知らずにいる状況であるといえるでしょう。
罰則の内容は?
後部座席で同乗者がシートベルトを着用していない場合、罰則の対象となるのは運転者です。道路交通法では、同乗者にシートベルトを着用させる義務は運転者に課されているため、違反が確認されると運転者に対して違反点数が1点加算されます。
そのため、タクシーの運転手が後部座席の乗客に着用を促すのは、自身の違反リスクを回避するためでもあります。乗客本人に反則金や点数が科されることは基本的にありませんが、万一事故が起こった場合には命を守れなかったりけがをしたりするだけでなく、経済的にもデメリットになることがあるのです。
シートベルトをせずに事故が起きたらどうなる?
警視庁によると、後部座席でシートベルトを着用していなかった場合、事故時の致死率は着用時と比べて、一般道路では約2.7倍、高速道路ではなんと約16.6倍に上ります。
また、シートベルト着用の義務を怠ったという過失相殺の適用により、被害者であっても賠償金が減額される可能性があります。実際には、シートベルト不着用による影響を判断して決定されますが、おおむね5~10%程度の減額となり、経済的な損失は決して小さくありません。
例えば、自賠責保険において、傷害による損害に対する慰謝料の限度額である120万円を受け取る場合、10%減額されると108万円、死亡時の限度額3000万円の場合は2700万円となります。
まとめ
後部座席でシートベルトをしなかった場合の罰則は、運転者に科され、同乗者にはありません。しかし、罰則対象にならないとしても、シートベルトの着用は自衛の面から考えても必要な行動です。
事故は予期せぬ形で起こり得るもので、命を守る最後の手段がシートベルトです。万一事故にあった場合でも、自身の過失と判断されることがないよう、後部座席であってもシートベルトの着用を徹底しましょう。
出典
e-Gov法令検索 道路交通法
一般社団法人日本自動車連盟(JAF) 一般道路の後席シートベルト着用率は45.5% 今なお低い、後席シートベルト着用の意識
警察庁 全ての座席でシートベルトを着用しましょう
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
