子どもの私立学校から「一口5万円」の寄付金募集!「余裕がないから払わない」はアリ?税金が戻る仕組みも解説
この記事では、学校寄付金の実態や支払うかどうかの判断材料、税制上のメリット・注意点を分かりやすく解説します。
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目次
一口「5万円」?私立学校の寄付金
私立学校では、入学時や在学中に「寄付金のお願い」が届くことが珍しくありません。一口あたりの金額は5万円~10万円とされることが多く、「高すぎる」と感じる保護者も少なくないでしょう。特に近年は物価上昇や教育費の負担が増しているため、寄付金に対するハードルを感じる方もいるかもしれません。
「任意」という言葉は、「出す・出さないは保護者の判断に任せます」という意味です。支払わなかったからといってペナルティーがあるわけではなく、実際に払わない家庭も一定数あるようです。学校側も「ご協力いただける方のみで結構です」といった、配慮ある案内を出すケースが多く見られます。
寄付金を払わないと不利になる?子どもへの影響はある?
寄付金の扱いについては、学校側でも教職員と会計担当がきちんと分かれており、「誰がいくら出したか」は教師に伝わらない仕組みになっているといわれています。こうした背景から、寄付をしていないことが原因で子どもが不利な扱いを受けるという心配は、基本的にはしなくてよいでしょう。
とはいえ、「任意」とはいっても、毎年のように案内が届いたり、他の家庭の動向が気になったりと、プレッシャーを感じることもあるかもしれません。
寄付金を支払う場合の税制優遇
私立学校(学校法人)に寄付をした場合、確定申告を通じて税制上の優遇が受けられることもあります。寄付金控除には「税額控除」と「所得控除」の2つの方法があり、どちらか有利な方を選択できます。
●税額控除:寄付金額(2000円を超える部分)の最大40%が所得税から直接差し引かれる。
●所得控除:寄付金額(2000円を超える部分)を課税所得から差し引く
これらの控除を受けるには、学校法人から発行される「寄付金受領証」が必要です。確定申告の際に、この書類を添付して提出します。
なお、入学との関係がある寄付金は、控除の対象外になる場合もあるため、寄付の時期にも気をつけたいところです。さらに、すべての学校がこの制度の対象とは限りません。中には、税制優遇の対象外だったり、自治体が住民税控除に対応していなかったりするケースもあります。
こうした点をふまえて、寄付を検討する際は学校からの案内やホームページで詳細を確認しておくと安心です。
「年収700万円世帯」が私立学校に「10万円寄付」した場合の税制優遇
一例として、私立学校に10万円寄付した場合の税制優遇を、年収700万円世帯をモデルケースに試算してみましょう。ただし、実際の控除額は、家族構成や他の控除、所得の詳細によって変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
●年収:700万円(給与所得控除後の課税所得金額:約500万円)
●所得税率:20%
●住民税率:10%(自治体により異なる場合あり)
●寄付金額:10万円
寄付金控除は「寄付金額-2000円」が控除対象額となります。つまり、10万円寄付した場合は9万8000円が控除対象です。
この金額に対し、税金の軽減は以下のように計算されます。
まず所得税については、「税額控除」の仕組みを利用することで、9万8000円 × 40%=3万9200円が所得税から直接差し引かれます。さらに、住民税についても、お住まいの自治体が対応している場合に限り、9万8000円 × 10%=9800円が軽減されることがあります(控除率は自治体により異なる場合があります)。
この2つを合わせると、控除額の合計は4万9000円となり、10万円の寄付に対する実質負担額は約5万1000円となります。この税制優遇を最大限活用するには、学校が「特定公益増進法人」に認定されているかどうかも、確認しておきましょう。
公立校の寄付金募集は?
公立学校では、地方財政法の規定により、寄付金を強制的に集めることは禁止されています。寄付はあくまで保護者の「任意」であり、「払わないと不利益になるのでは」と感じさせるような案内の仕方は、問題視される可能性があります。
もし、公立校から寄付金の案内が届いたとしても、それが納得のいかない内容であれば断るのも1つの方法です。気になる点があれば、学校や教育委員会などに確認してみると安心でしょう。
寄付金は「払わない」も選択肢。自分の家庭に合った判断を
寄付金の案内があったとしても、多くのケースは任意です。家計と相談しながら、自分たちにとって納得できる選択をしましょう。
実際、寄付をしている家庭もあれば、事情により寄付をしない家庭もあり、それぞれの事情に応じて判断されています。もし不安があれば、学校に確認したり、他の保護者と話してみたりするのもよいでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
