都内の“現金の落とし物”は、年間「45億円」で過去最高!? キャッシュレス化が進む中なぜ? その「意外な理由」とは
キャッシュレス化と現金の落とし物が過去最高という現状は、逆行するように見えます。
本記事では、キャッシュレス化が進んでいるにもかかわらず現金の落とし物が増えている理由について考え、現金の落とし物がどのように処理されているのかについても解説します。
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キャッシュレス化と現金の落とし物の現状
経済産業省の発表によると、キャッシュレス決済比率は年々上昇し、2024年には42.8%に達しました。10年前の2014年が16.9%だったことを考えると、キャッシュレス化はかなり進んできているといえます。
一方、警視庁によると、東京都内での届けられた現金の落とし物は増加傾向にあります。2024年には約45億円が届けられ、過去最高を記録しました。この現象は、キャッシュレス化の進展とは逆行するように見えますが、いくつかの要因が考えられます。
落とし物が増えている要因
そもそも、東京都内では現金を含めた落とし物自体の数が約440万件もあり、こちらも前年を大きく上回っています。警視庁は、落とし物が増えた要因として外国人観光客の増加や電気製品の小型化などが挙げられるとしています。
キャッシュレス化が進む中、現金の落とし物はなぜ増えている?
キャッシュレス化が進む中、落とし物の中でも現金はなぜ増えているのでしょうか?
要因の1つとして、高齢者の現金志向があると考えられます。NIRA総合研究開発機構の「 キャッシュレス決済実態調査2023(速報)」によると、年齢層が高くなるにつれて、持ち歩く現金の金額が多くなる傾向が見られます。
例えば、普段持ち歩く現金の金額が1万円以上の割合は、18~29歳が25%、30~39歳が39%なのに対し、60~69歳は52%、70~79歳は55%です。
そして、日本は高齢化がどんどん進んでいます。高齢者は増えていますが、若年層は減っており、2010年から2023年にかけて高齢化率(65歳以上の人口割合)は23.0%から29.1%まで上昇しています。
そして、高齢者の絶対数自体もここ数十年右肩上がりです。2010年には65~74歳が1517万人、75~84歳は1028万人でした。13年後の2023年には、65~74歳が1615万人、75~84歳は1337万人と、両方合わせると400万人以上増加しています。
多くの現金を持ち歩く高齢者が増えたため、現金の落とし物が増えている可能性はあるでしょう。
落とし物として届けられた現金はどう処理される?
警視庁によると、2024年に届けられた現金約45億円のうち、約32億円は持ち主に返還されました。拾得者が受け取ったのは約6億円、持ち主が見つからず拾得者も引き取りを辞退するなどした約6億6000万円が東京都の歳入となりました 。
このように、落とし物として届けられた現金が持ち主にも拾得者にも引き取られなかった場合は、法的手続きの後に所管する都道府県の財産となり、公共の利益のために活用されることがあります。
まとめ
キャッシュレス化が進む一方で、現金の落とし物が増加している現状は、外国人観光客の増加や高齢化などの社会情勢が関係しているといえそうです。
警視庁などは、今後も落とし物の傾向や対策について注視していくでしょうが、個人としてもしっかりとした自己管理が求められるでしょう。
出典
経済産業省 2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました
警視庁 遺失物取扱状況(令和6年中)
NIRA総合研究開発機構 キャッシュレス決済実態調査2023(速報)
内閣府 令和6年版高齢社会白書 第1章第1節 高齢化の状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
