「家賃を払うのがもったいない」とよく聞きます。実際に“持ち家のほうが得”というのは本当でしょうか?
一方で賃貸には、引っ越しがしやすいなどの柔軟性がある。このように、どちらにもメリットとデメリットが存在します。
この記事では、「持ち家と賃貸、どちらが本当に得なのか? 」という永遠のテーマに対して、コスト面・自由度・老後の備えなど多角的に比較し、ライフスタイルに応じた選び方を解説します。将来の住まい選びに悩んでいる方にとって、判断材料になる内容をお届けします。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
持ち家と賃貸、どちらが得なのか? 結論は「人による」
結論から言えば、「どちらが得か」は一人ひとりの生活設計や価値観に左右されます。まず、持ち家派と賃貸派はどのくらいの割合なのでしょうか。
全国宅地建物取引業協会連合会が2021年1月に実施した「住居の居住志向及び購買等に関する意識調査」によると、持ち家と賃貸派の割合は約75%が持ち家派という結果でした。では、「一般的」にはどちらがお得なのかを以下のようなシミュレーションで見てみましょう。
・都内で月15万円の賃貸に50年住み続けた場合の総額
約9000万円
・4000万円の物件を住宅ローンで購入した場合(固定資産税・修繕費込み)
約8000~9500万円
これだけ見ると「持ち家の方が得」と思われるかもしれませんが、これはあくまで一例。購入時の諸費用、修繕の頻度、金利、家族構成、転勤の有無などによって、総額は大きく変動します。
持ち家の場合は、金利・ローンの期間・固定資産税・修繕費の設定によって総額は大きく変動します。
たとえば、金利2%・35年ローン・固定資産税年15万円・修繕費年10万円の場合、総額は約6400万円ですが、金利や修繕費が高くなる場合は約8300万円~8800万円まで増える場合もあります。
つまり、「損得」で一概に答えを出すことはできません。大切なのは、自分に合った選択をすることです。
持ち家のメリットとデメリット
持ち家最大の魅力は、住まいが将来の「資産」になる点です。住宅ローンを完済すれば、老後の住居費を抑えられるという安心感があります。さらに以下のような利点もあります。
・団体信用生命保険により、万が一の際にローン残債がゼロになる
・定年後に住居費が抑えられるため、老後の安心感がある
・転勤や家族構成の変化への対応がしづらい
・災害や資産価値下落など、不確定要素のリスクがある
また、マンションを購入した場合は管理費や修繕積立金が一生かかる点にも注意が必要です。
賃貸のメリットとデメリット
一方、賃貸は「身軽さ」が最大のメリット。転勤やライフスタイルの変化にも柔軟に対応でき、初期費用も購入に比べて安く済みます。
・建物の修繕やトラブルは原則として大家が対応
・固定資産税や修繕積立金などの維持費が不要
・高齢になると新規契約が難しくなるケースもある
・退去時に原状回復費用がかかることもある
・内装の自由度が低い
老後も賃貸に住み続けたい場合は、若いうちから家賃を抑えた物件に慣れておく、信頼関係を築いておく、貯蓄や年金計画をしっかり立てるなどの備えが必要です。
結局、どちらを選ぶべき? 判断基準は「ライフスタイルの安定性」
最後に、「結局どちらが自分に向いているのか」を考える基準をまとめます。
【持ち家が向いている人】
・長く同じ場所に住む予定がある
・収入が安定していてローン返済が可能
・将来的に資産として子どもに残したい
・自分好みにリフォームしたい
【賃貸が向いている人】
・転勤や引っ越しの可能性が高い
・初期費用を抑えたい
・自分に合う場所を試してから決めたい
・維持費やトラブルの対応に手間をかけたくない
このように、最も大事なのは「どちらが得か」ではなく「どちらが自分に合っているか」です。損得勘定だけでは判断できない要素も多くあります。
出典
全国宅地建物取引業協会連合会 住居の居住志向及び購買等に関する意識調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
