今年は医療費が「50万円」近くになりそうというな夫婦です。1年で3回以上「高額療養費制度」を利用すると「上限」が下がると聞きましたが本当でしょうか? 「多数回該当」の仕組みって?
今回は、高額療養費制度の適用回数で上限がどう変わるのか、利用するときのポイントなどについてご紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
高額療養費制度の多数回該当とは
高額療養費制度とは病院や薬局で支払う1ヶ月の医療費が上限額を超えた場合、その超えた額が払い戻される制度です。
多数回該当とは、高額療養費制度の上限額に達した回数が過去12ヶ月以内に3回以上あると、4回目からは上限額が下がる仕組みのことです。
そもそも、高額療養費制度では年齢や収入に応じて上限額が決められており、上限を超えた金額が払い戻されます。多数回該当では上限額が下がるので、医療費にかかる自己負担が軽くなる点がメリットです。
厚生労働省保険局によると、69歳以下の人の場合、多数回該当が適用される前と後の上限額は表1の通りです。
表1
| 収入の目安 | 1ヶ月の世帯あたりの上限額 | 多数回該当適用後の上限額 |
|---|---|---|
| 年収約1160万円~ | 25万2600円+(医療費-84万2000円)×1% | 14万100円 |
| 年収約770万~約1160万円 | 16万7400円+(医療費-55万8000円)×1% | 9万3000円 |
| 年収約370万~約770万円 | 8万100円+(医療費-26万7000円)×1% | 4万4400円 |
| ~年収約370万円 | 5万7600円 | |
| 住民税非課税者 | 3万5400円 | 2万4600円 |
※厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作成
高額療養費制度を利用するときのポイント
まず、高額療養費制度を利用するためには申請が必要です。自身が利用している公的医療保険の担当窓口に、支給申請書を提出しましょう。状況によっては領収書などを求められることもあるので、病院にかかった際は、領収書を保管しておくことがおすすめです。
また、医療費控除も併用して利用したい場合、制度を利用した分は控除に加算できません。医療費控除は1年間で実際に負担した医療費が10万円を超えていると、所得から差し引ける控除制度です。
なお、医療費控除ではなくセルフメディケーション税制を利用すると、指定された市販医薬品の風邪薬や胃薬などの費用が控除対象となるため、高額療養費制度を利用しても控除額に影響はないでしょう。ただし、セルフメディケーション税制を選択すると医療費控除との併用はできません。
できるだけ税金負担を軽くしたい人で制度も利用している人は、セルフメディケーション税制と医療費控除のどちらがより節税できるか比較するとよいでしょう。
1年以内に上限額を3回超えると4回目から上限額が下がる仕組み
多数回該当とは、高額療養費制度の上限額に達した回数が過去12ヶ月以内に3回以上あると、4回目からは上限額が下がる仕組みのことです。そのため、けがや病気で病院を利用する機会の多い方は、経済的負担を軽くできるでしょう。
なお、制度は自身で申請をしないと利用できません。今後医療費の支出が増える可能性のある人は領収書を保管しておき、申請を忘れないようにしましょう。
また、医療費控除やセルフメディケーション税制と併用するときは、控除される金額を一度算出してより節税できる方を選択するとよいでしょう。
出典
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
