なるべく家賃を抑えたいのですが、「UR賃貸住宅」と「公営住宅」ってどう違いますか?「収入基準」や「入居条件」について解説!
どちらも民間の賃貸住宅とは異なり、入居条件や家賃の仕組みに大きな違いがあります。この記事では、それぞれの制度の特徴や違いを分かりやすく紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
運営主体と制度の目的の違い
UR賃貸住宅は、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が管理・運営している住宅です。その前身は、日本住宅公団であり、戦後の住宅不足解消を目的に設立された経緯があります。
一方、公営住宅は都道府県や市町村などの地方公共団体が建設・管理する住宅です。
公営住宅は「公営住宅法」に基づき、低所得者や高齢者、障害者など、住宅の確保に困難を抱える人々に向けて、比較的低廉な家賃で提供されているのが特徴です。
UR賃貸住宅は、家賃に応じた一定の収入基準を満たす方を対象とした賃貸住宅であり、民間賃貸と同様の利便性や住環境を提供することが目的とされています。
入居条件や収入基準の違いとは?
両者の大きな違いの一つが、入居にあたっての収入要件です。公営住宅では、収入の上限が定められており、原則として「各種控除後の月収15万8000円以下」(裁量階層の場合は21万4000円以下)でなければ入居できません。
これは、住宅に困窮している世帯を支援する制度であるためです。一方、UR賃貸住宅では収入の下限が定められており、家賃に応じて入居に必要な月収が異なります。
・家賃が8万2500円未満:月収は家賃の4倍以上
・家賃が8万2500円以上20万円未満:月収33万円以上
・家賃が20万円以上:月収40万円以上
また、単身者の場合はさらに基準が下がり、たとえば家賃が6万2500円未満であれば月収は家賃の4倍以上、6万2500円以上20万円未満であれば25万円以上の月収が求められます。
家賃の決まり方にも違いがある
家賃の算定方法にも制度上の大きな違いがあります。公営住宅では、「応能応益家賃制度」を採用しており、入居する世帯の所得(支払う能力)や、住宅の立地・広さ・築年数など(受ける利益)に応じて家賃が毎年決定されます。
一方、UR賃貸住宅の家賃は「市場家賃」を基本としており、近隣の民間賃貸住宅の家賃相場と同等の水準で設定されています。不動産鑑定士の評価に基づき、部屋の階層、向き、日当たりなどの個別要素を考慮して家賃が決まるため、所得によって家賃が変わることはないようです。
申し込み方法と初期費用の違い
公営住宅は応募者が多いため、通常は年数回の募集時期に申し込みを行い、抽選で入居者が決まります。入居できるまでに時間がかかるケースもあります。
対して、UR賃貸住宅は原則として先着順で申し込みが可能です。入居条件を満たしていれば、比較的スムーズに契約・入居することができるようです。
また、契約時に必要な費用にも差があります。UR賃貸住宅では、礼金・仲介手数料・更新料が不要で、保証人も必要ありません。必要となるのは、敷金(家賃の2ヶ月分)と初月の家賃(日割り分)程度です。敷金はキャンペーン期間中なら負担が軽くなるケースもあるようです。
自分に合った住まいを選ぶために
UR賃貸住宅と公営住宅は、それぞれ異なる目的や入居対象者を想定して設計された住宅制度です。
収入が比較的安定しており、初期費用を抑えて早めに入居したい人にはUR賃貸住宅が適しています。一方で、住宅に困窮しており、収入が制限されている世帯にとっては、公営住宅が有力な選択肢となるでしょう。
どちらも民間賃貸住宅にはない特長があり、制度を理解したうえで、収入や家族構成、住環境への希望を踏まえて住まいを選ぶことが重要だといえるでしょう。
出典
UR都市機構 UR賃貸住宅とは
UR賃貸住宅 お申込み資格
e-Gov法令検索「公営住宅法施行令」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
