「給食の唐揚げ1個」の画像にSNSが騒然!「昔より減ってる」「本当に足りる?」“給食費無償化”で、学校給食は豪華になるのかも解説

配信日: 2025.06.21 更新日: 2025.09.26
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「給食の唐揚げ1個」の画像にSNSが騒然!「昔より減ってる」「本当に足りる?」“給食費無償化”で、学校給食は豪華になるのかも解説
2025年6月9日、「メインおかずが、唐揚げ1個だけの給食」の画像がSNSに投稿されて騒然となりました。この画像がきっかけとなり、「給食は昔に比べて減っているのか?」「なぜ少なくなっているのか?」といった疑問の声が飛び交いました。
 
実際の学校給食は今、どのように変化しているのでしょうか。そして、その背景にはどのような社会的な要因があるのでしょうか。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

「唐揚げ1個の給食」に含まれるカロリーは?

「唐揚げ1個の給食」は非常に大きくメディアでも取り上げられ、朝日新聞による追跡調査も入りました。
 
その報道では「福岡市学校給食公社のホームページによると、この献立は、麦ごはん、鶏の唐揚げ1個、春キャベツのみそ汁、牛乳だった。計620キロカロリーあり、1食あたり600キロカロリーの市の基準を満たしていた」「唐揚げは1個約60グラム、155キロカロリーを基準に作っていて、『(通常の)2個分くらいの大きさがある』」とされ、実際にはみそ汁などをおかわりする児童もいると考えると、カロリー量で考えれば給食のボリュームに問題はないように思えます。
 
学校給食については、カロリーを始めとする各種の栄養素量や使用食材について細かく指針が定められており、ここから大きくはずれた献立は立てられません。
 
文部科学省が策定した「学校給食実施基準」によれば、三大栄養素のうちタンパク質は給食による摂取エネルギー全体の13~20%にすること、脂質は同20~30%とすることなどが基準値となっており、今回話題となっていた給食でも、栄養バランスは維持されていたと考えられます。
 
栄養価・栄養バランスとしては、児童の健康のために十分であったものの、給食の画像(見た目)がかなりお粗末に映ったことが、今回大きな話題となった本質といえるでしょう。
 
ただ、筆者としては、上記の学校給食の基準値は「1日に必要なエネルギー・栄養価をきっちり『3等分』したもの」のように見えるのが気がかりです。
 
これは、児童生徒が食べる朝食・夕食も「給食と同じレベルのエネルギー・栄養バランス」であることを前提に考えられているということであり、家庭によってはなかなか実現が難しく、特に朝食からタンパク質を豊富にとることは厳しいのではないでしょうか。
 
また、成長期でスポーツなどに取り組んでいる生徒の場合は、さらに多くのタンパク質を摂取したほうが望ましいと思えます。
 
これらを考え合わせると、児童生徒が1日にとるエネルギーの中心となる昼食(給食)について、もう少しエネルギーとタンパク質を多くとれるような配慮が必要なのではないでしょうか。
 

「給食費無償化」で、学校給食は豪華になるのか

今回ネット上で飛び交った、「給食が昔より貧相になった」という意見については、印象だけでなく実際に起きている可能性が高いように筆者には思えます。背景としては以下のような要因があげられるでしょう。

●近年、食材の高騰が急激に進んだ(特に米飯)
●光熱費や給食センター等で働く従業員の給与などの、給食作成にまつわるコスト増
●一方、生徒から徴収する給食費を急激には値上げできない

実際に、食材高騰による給食費の不足から、メニューの原料を安価な野菜に切り替えたり、量を減らしたりしたため、給食のカロリーが基準以下となってしまった自治体があることが報道されています。
 
予算が不足した場合、このような形でしわ寄せが子どもたちに行ってしまうことを考えると、最近多くの政治家が主張する「給食費の完全無償化」には善しあしがあると言えるのではないでしょうか。
 
1年間の給食費予算を最初に自治体で決めてしまうと、年度途中で想定外の食材高騰などが起きた場合、補正予算を迅速に通さない限り給食のボリュームなどに影響が出るのは避けられません。また、自治体の政治を担う政党の姿勢によっては、給食にかかる予算自体の削減が起きるリスクもあります。
 
今後、全国的に「給食費無償化」が進むのであれば、子どもたちの健全な成長を望む親世代としては、これまで以上に市町村の財政や子育て政策に目を光らせていく必要があるでしょう。
 

まとめ

SNSなどで話題となった「唐揚げ1個だけの給食」は、児童生徒にとって栄養面では十分かもしれませんが、見た目がかなり貧相であったことは否定できません。また、最近は食材の高騰などの影響により、公立小中学校の給食が少なくなっているとも報道されています。
 
経済学用語でよく言われる「フリーランチ」は、「給食」の世界でも文字通りありえません。公的なサービスには必ずコストがかかることを頭に入れ、子どもの給食費をはじめとした各種の政策に注目し、意見を伝えていくことも重要です。
 

出典

文部科学省 学校給食摂取基準の策定について(報告)
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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