年収300万円の一人暮らし。「身の丈に合った暮らし」をするには家賃いくらがベスト？

家賃は上を見たらきりがありません。それゆえ、どれくらいの金額に設定して生活していくべきなのか悩む方も多いでしょう。特に平均よりやや少なめの収入帯にある方にとっては大きな悩みのひとつになるかもしれません。
 
そこで本記事では、年収300万円の一人暮らしの方が、身の丈に合った暮らしをするには家賃をどれくらいに設定するのがベストなのか考えていきます。

一般的に家賃は手取りの25％から30％程度が理想といわれる

一般的に最適な家賃の額は、手取りの25％から30％程度といわれます。一昔前までは手取りの30％だといわれることも多かったのですが、近年では税負担の上昇などさまざまな理由から25％程度といわれることも増えています。
 
実際、家賃を手取りの25％程度に設定することで、貯蓄に回す余裕ができたり、万一のことがあったときも金銭面において対応がしやすくなったりするでしょう。
 
所得控除の額などによっても異なりますが、年収300万円の方の場合、手取り額は240万円前後になることが想定されます。賞与を加味せず月々の手取りに換算すると、20万円前後になります。
 
仮に手取り20万円だとすると、年収300万円の方にとってベストだといえる家賃の額は5万円から6万円程度となるでしょう。
 

身の丈に合った暮らしをするなら家賃の額は多少理想から前後してもよい

何も節制して暮らすことだけが身の丈に合った暮らしというわけではありません。収入はもちろんですが、ライフスタイルも含めて身の丈に合った暮らしがどのようなものになるのかが決まると考えてよいでしょう。
 
例えば、家にいる時間が長い人は家での時間を快適に過ごすため多少高めに家賃を設定してもよいかもしれません。また、勤務地が都心であるという場合であったり、職場の近くに住むことで通勤時間を短縮するなどの目的があったりすれば、多少家賃を高めに設定してもよいでしょう。
 
とはいえ、手取りの半分近くが家賃となっていると生活が厳しくなってしまうので、年収300万円であればせいぜい手取りの35％程度が限界でしょう。
 
人によっては手取りの40％程度に相当する家賃を支出している方もいらっしゃるようですが、万一のことを考えると生活が不安定になる可能性があるためご注意ください。
 
いずれにせよ、ライフスタイルと他の支出を踏まえ、無理なく払えるだけの家賃額に設定されていればそれが「身の丈に合った暮らし」といえる家賃の額になります。
 
無理に25％や30％といった一般的な数字に左右される必要もないのです。
 

仮に家賃6万円だとどんな暮らしになる？

では、年収300万円、手取りは月額20万円の方が家賃を6万円に設定したと仮定して、一人暮らしの生活費をシミュレーションすると、支出例としては表1のようになります。
 
表1

項目	支出額
家賃	6万円
食費	4万円
水道光熱費	1万5000円
通信費	1万円
被服費	1万円
交際費	2万円
その他・雑費	1万5000円
貯金	3万円
合計	20万円

※筆者作成
 
このように、手取り20万円で家賃6万円と仮定しても3万円の貯金をすることも可能です。食費は4万円、交際費も2万円と多少余裕を持たせて設定しています。人によっては自炊を増やして食費を3万円以内に抑えたりすることで、家賃を7万円に増やして都心に住むということもできそうです。
 
また、自宅にいることが少ないため、家賃を5万円に抑えたいというような場合の支出例としては表2の通りになります。
 
表2

項目	支出額
家賃	5万円
食費	4万5000円
水道光熱費	1万5000円
通信費	1万円
被服費	1万円
交際費	2万5000円
その他・雑費	1万5000円
貯金	3万円
合計	20万円

※筆者作成
 
家賃を5万円に抑えた分、他の支出に回すお金に余裕を持たせることができます。表2の支出例では食費と交際費に回しましたが、被服費や貯金に回すことも可能です。
 
これらは一例でありライフスタイルによって異なる部分はありますが、年収300万円の方の家賃は5万円から6万円であることが多くの方にとってベストだろうと感じられます。
 

まとめ

年収300万円の方の場合、家賃は5万円から6万円とすることが多くの方にとってベストな家賃額となるでしょう。
 
身の丈に合った暮らしというのは単に節制することにとどまりません。適切な家賃の額は同じ年収300万円であっても人によって異なります。家賃の額を実際に何円とするかは自身のライフスタイルを加味し、実際にシミュレーションしてみて無理のない金額に決めることをおすすめします。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士