年収いくらあれば「小学校受験」できる? 私立小学校へ通わせる世帯の平均年収はどれくらい?

配信日: 2025.06.24 更新日: 2025.09.26
この記事は約 5 分で読めます。
年収いくらあれば「小学校受験」できる? 私立小学校へ通わせる世帯の平均年収はどれくらい?
小学校受験には多額のお金がかかります。それがネックとなって子どもを私立小学校へ通わせるべきか悩んでいる世帯も多いかもしれません。
 
そこで本記事では、年収いくらあれば私立小学校の受験ができるのか、統計データから考えていきます。
柘植輝

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

私立小学校に通わせている世帯の年収はどれくらい?

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、子どもを私立小学校に通わせている世帯の13.4%が年収800万円から999万円、15.1%が1000万円から1199万円、そして53.1%が年収1200万円以上となっています。
 
半数以上が年収1200万円以上、かつ、全体の8割程度の世帯が年収800万円以上と考えると、子どもを私立小学校に通わせている世帯の平均年収は少なくとも800万円を超えていることが想定されます。
 
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によれば、平均的な年収が460万円とのことなので、子どもを私立小学校へ通わせているのは、平均的な年収の2倍~3倍程度稼いでいる世帯が多数を占めていることが分かります。
 

年収がいくらあれば私立小学校の受験ができる?

私立小学校の受験をするとなれば、かかってくるのが受験対策のための費用です。文部科学省の同調査によれば、通っている幼稚園とは別にかかる補助学習費用について、公立幼稚園に通っている場合では年間平均3万4000円、私立幼稚園に通っている場合は年間平均5万円となっています。
 
上記金額のすべてが受験対策に充てられているとは限りませんが、ここでは仮に全額が受験対策費用だとします。家庭の他の支出にもよりますが、受験対策に年間合計3万円から5万円程度という範囲であれば、年収400万円~500万円という一般的な世帯であっても不可能ではないでしょう。また、受験料も1校だけであれば数万円以内で済むでしょう。
 
以上から、私立小学校の受験をするだけであれば、平均的な年収であっても不可能ではないことが分かります。
 

年収がいくらあれば私立小学校に通わせることができる?

しかし、私立小学校を受験して合格したとしても、小学校6年間子どもを私立小学校に通わせるのは容易ではありません。
 
文部科学省の同調査によると、保護者が支出した1年間子ども1人あたりの学習費の総額は、子どもが私立小学校に通う場合、182万8112円となっています。
 
一方、子どもが公立小学校に通う保護者の支出する1年間の学習費総額は33万6265円となっています。私立小学校に通うのにかかる学習費は公立小学校に通うのと比較して、実に5.4倍ほど高い結果です。
 
180万円を超える学費が1年間で生じることを考えると、ざっと計算しても小学校6年間で1000万円以上の学費がかかることになります。
 
これだけの学費を年収400万円~500万円という平均的な年収の世帯が捻出し、私立小学校に通わせるのは難しいことが想定されます。
 
すると、少なくとも子どもを私立小学校に通わせるためには、親(子どもから見た祖父母)から支援を受けるなど例外的な状況を除き、世帯の年収が600万円から700万円程度は必要になってくるでしょう。
 

私立小学校に無理なく通わせるにはどのくらいの年収が必要?

文部科学省の同調査より、世帯の年収別に支出している学習費総額の平均について見ていくと、1000万円から1199万円の世帯で166万4000円、1200万円以上の世帯で211万7000円となっています。
 
私立小学校に1年間にかかる学習費の平均が182万8112円であることを考えると、このあたりの年収帯で現実的に私立小学校へ子どもを通学させることができるものだと想定できます。
 
一方で、年収が800万円から999万円の世帯で支出している学習費総額の平均は年間で146万5000円となっており、学習費の支出が私立小学校の学習費平均と比べて35万円以上小さい金額となっています。
 
さらに世帯年収が下がり、600万円から799万円となると、支出した学習費は年間平均146万9000円、400万円から599万円では126万6000円となっています。このように、世帯年収が下がれば下がるほど学習費の支出額が平均的な額から遠ざかっていく傾向にあります。
 
以上から、世帯年収800万円未満で私立小学校に通わせることが、家計にとって大きな負担になることが推測できます。
 
現実的にある程度無理なく子どもを私立小学校に通わせるのであれば世帯年収1000万円以上、理想をいえば1200万円以上が必要であるといえるでしょう。
 

私立小学校に通わせるなら世帯年収1000万円以上が現実的と考えられる

私立小学校に子どもを受験させるだけであれば、世帯年収400万円~500万円など一般的な世帯でも不可能ではないでしょう。
 
しかし、その後6年間子どもを通わせるとなると、年間180万円以上の学費を支出していくことになる可能性があります。世帯年収ごとの学習費への平均的な支出額を踏まえると、世帯年収1000万円、理想をいえば1200万円以上あると安心かもしれません。
 
小学校で私立に通うことが教育のゴールではありません。中学、高校、大学とその先の進学についても考えていく必要があります。
 
子どもの小学校受験が金銭的に難しいと感じたときは無理に小学校受験をさせることを考えずに、金銭的に無理なく可能な範囲での教育方法に切り替えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

e-Stat政府統計の総合窓口 文部科学省 子供の学習費調査 令和5年度子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比 (1)学習費総額
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します 【調査結果のポイント】(1ページ、4ページ)
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

  • line
  • hatebu

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問