大臣の発言で話題になった「減価償却」って何?どのようなものが対象になる?「10万円以上」が基準になるって本当?

配信日: 2025.06.24 更新日: 2025.09.26
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大臣の発言で話題になった「減価償却」って何?どのようなものが対象になる?「10万円以上」が基準になるって本当?
最近、ある大臣の発言をきっかけに「減価償却」という言葉が話題になりました。普段、会計や税務になじみがないと、どのようなものを指すのか分かりづらい言葉かもしれません。
 
この記事では、減価償却の基本的な概念から、対象となる資産、計算方法などについてまとめました。
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減価償却とは

減価償却とは、建物や機械設備など、原則10万円以上の固定資産を取得した際に、その取得費用を一度に計上せず、使用可能期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用化(償却)していく会計処理のことです。
 
減価償却は、時間が経過するにつれて資産価値が減っていくことを反映するためのシステムといえます。
 
例えば、1000万円の機械を購入した場合、その機械の耐用年数が10年であれば、経費として毎年100万円ずつ計上します(定額法の場合)。こうすることで、企業の損益計算書上では各年度に均等に費用が分散され、より正確な利益の算出が可能です。
 

減価償却の対象となる資産

減価償却の対象となる固定資産は「有形固定資産」と「無形固定資産」に分けられます。有形だけではなく、形をもたない無形の資産も対象になることを理解しておきましょう。
 

有形固定資産

代表的な有形固定資産は、表1の通りです。
 
表1 

有形固定資産の種類 含まれるもの
建物・建築物 ビル、工場、倉庫など
建物付属設備 建物の機能の一部となる設備で、
建物と一体となって価値を発揮するもの(電気設備、給排水設備、空調設備、エレベーターなど)
機械装置 生産ライン、加工機械、印刷機など
車両運搬具 社用車、トラック、フォークリフトなど
工具・器具・備品 パソコン、オフィス家具、測定器など

※筆者作成
 
有形固定資産には土地も含まれますが、時間により土地の価値が減少することはないため、減価償却の対象外です。
 

無形固定資産

主な無形固定資産は表2の通りです。
 
表2 

無形固定資産の種類 概要
特許権 特許として登録された新技術や発明を独占的に実施できる権利
実用新案権 実用新案として登録された考案を独占できる権利
意匠権 意匠として登録されたデザインなどを独占できる権利
商標権 商標として登録されたマークを独占的に使用できる権利

※筆者作成
 
事業活動において長期間使用する固定資産は、有形、無形を問わず減価償却によって費用配分していくことになります。
 

定額法と定率法

日本の税法では「定額法」と「定率法」の2つの減価償却方法が認められています。
 
定額法は、資産の金額に償却率(耐用年数ごとに決まっている)を掛けて、各年の償却費を出す方法です。
 
例えば、耐用年数が4年の場合の償却率は0.250です。仮に、100万円で取得した資産の場合は、減価償却費として毎年25万円を計上します(最後の4年目は、使用していることを示すため1円を残します)。
 
このように、定額法は計上額が毎年同じになり、計算が簡単となりますが、適用には品目により届け出が必要です。
 
一方、定率法は未償却残高(まだ経費にしていない残高)に一定の償却率を掛けて計算する方法で、初年度の償却額が大きく、年々減少していきます。
 
新しい機械や設備は、導入したばかりの頃が最も効率よく稼働したり、技術的な価値が高いことが一般的です。その時期に多く費用を計上し、だんだん経費が減っていく定率法は理にかなっているといえるでしょう。
 

減価償却は、固定資産の価値の減少を費用化するシステム

自動車や機械などの固定資産は、時間の経過や使用によって価値が減少することから、減価償却によって費用に配分する必要があります。
 
近年、クラウドサービスやAIなどの資産が増加しており、これらの資産をどのように減価償却するかは、現代の会計における課題の1つです。経営者や財務の担当者は、このような新しい資産の償却方法などについても対応していく必要があるでしょう。
 

出典

国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
デジタル庁 e-Gov法令検索 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第八 平成十九年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定額法の償却率表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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