アパートのオーナーが変わり、契約更新のタイミングで初めて「5万円」の更新料を請求されました。支払わなければならないのでしょうか?

配信日: 2025.06.28 更新日: 2025.09.26
この記事は約 3 分で読めます。
アパートのオーナーが変わり、契約更新のタイミングで初めて「5万円」の更新料を請求されました。支払わなければならないのでしょうか?
賃貸アパートに住んでいる場合、更新のタイミングで更新料が発生する場合があります。今回のケースでは、アパートのオーナーが変わったことで、これまで求められていなかった更新料の支払いを請求されているようです。
 
本記事では、アパートの更新料について、また更新料を請求された場合の対処法について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

アパートの更新料とは

アパートを借りるときは、オーナーと賃貸借契約を結びます。賃貸借契約には、アパートを借りる期間が設定されており、契約期間が満了した後に住み続けたい場合は、更新手続きを行います。
 
この際、オーナーから更新料の支払いを求められるケースがあります。その金額はさまざまですが、家賃の1、2ヶ月分が求められる傾向があるようです。家賃が5万円なら、5~10万円を請求されるイメージでしょう。
 

更新料の支払いは法的根拠がない

国土交通省によれば、更新料については、法令上根拠となる規定が存在しません。慣習的な費用であり、しかも全国的に実施されているわけではありません。実際今回のケースでも、以前のオーナーは更新料を請求していなかったようです。
 
更新料には、「月々の家賃を安くする代わりに補充で徴収するもの」「貸主に対する謝礼的なもの」などのニュアンスが含まれるといわれています。
 

更新料の支払いは絶対か?

アパートのオーナーに変更があった場合、新しいオーナーは旧オーナーの賃貸借契約に関する権利や義務が引き継がれます。そのため、契約書に更新料の旨が記載されているかがひとつのポイントになるでしょう。
 
今回のケースでは、オーナー変更により初めて更新料の支払いが求められているようです。よって契約書には更新料の旨が記載されていないと想定できます。この場合、支払い義務は発生しないと考えられます。
 
一方、契約書にはっきり書かれていたのであれば、支払い義務があると考えることが妥当です。借り主が契約書にサインして合意していることからもそういえるでしょう。
 
更新料について注目したい判決例があります。国土交通省の資料より、平成23年7月15日に最高裁判所が下した判決によると、更新料支払条項の有効性は「特段の事情がない限り有効である」と判断されました。
 
具体的には、「更新料の額が賃料の額や契約更新のタイミングなどに照らして高額過ぎる」といった特段の事情でなければ、有効であるようです。
 
裁判では、借り主がすでに支払っていた過去の更新料の返還を請求していました。契約書には更新料について具体的な記載があり、額は家賃の2ヶ月分、契約期間は1年間です。裁判所は諸要素を検討したうえで「特段の事情」はないとし、更新料の請求を認容しました。
 
このように、契約書への記載がひとつの考慮材料となります。
 
とはいえ、記載があったとしても、「特段の事情」つまり更新料が高額過ぎたり、支払いタイミングが著しく借り主にとって不利益となったりする事情があれば、相談の余地が出てくるでしょう。
 

更新料の値下げは可能?

国土交通省は、「更新料については貸主と相談をすることが重要」とも説明しているほか、「どうしても折り合いが付かない場合には、調停等を申し立てることも考えられる」と述べています。
 
そのため、請求内容によっては交渉の余地があると考えられます。入居者がみつかりにくい物件や、管理会社を介さない物件であれば、特にそうかもしれません。ただし、人気のエリアであれば交渉は難しいともいえます。
 

更新料の支払い義務は契約書面によって左右されると考えられる

アパートの更新料については、その内容が契約書に記載されている場合、特段の事情がない限りは支払い義務が発生すると考えられます。新しいオーナーは、旧オーナーが入居者と交わした契約に関する権利や義務を引き継ぐからです。
 
今回のケースでは、契約書に記載がなかったと考えられるため、支払い義務はない可能性が高いでしょう。トラブルに発展するようであれば、弁護士など専門家に相談するとよいかもしれません。
 

出典

国土交通省 民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版) (2)更新料(29ページ)、5.所有者や管理会社の変更 (1)一般売買による建物の所有者の変更(70ページ)、7.最近の最高裁判例 5)事例4(165~167ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問