海外旅行中に体調不良に! 現地の医療機関を利用し「10万円」の痛手を負ったのですが「医療費を払い戻してもらえる制度がある」と聞きました。どこに申請すれば利用できますか?
本記事では、海外療養費制度の給付範囲や支給金額、適用されない場合についてご紹介します。
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海外療養費制度とは
海外療養費制度とは、海外に滞在している間に病気やけがなどで現地の医療機関を受診した際に受けられる制度です。
加入している健康保険組合(国民健康保険の場合は自治体)に申請すれば、医療費を一部払い戻してもらえる可能性があります。給付の範囲と支給金額は表1の通りです。
表1
| 給付の範囲 | ・日本で保険が適用される医療行為 ・臓器移植を必要とする人がレシピエント適応基準に該当しており、海外渡航の際に日本臓器移植ネットワークに 登録している場合 ・臓器の移植を必要としており、海外で移植を受けなければ生命の維持が困難になる場合 |
| 支給金額 | ・日本で同様の内容で病院を受診した際にかかる治療費を基準に計算した額と、実際に支払った金額を比較し、 低額な方から患者負担分を引いた金額を支給 ・外貨による支払いに関しては、支給決定日の為替水準から円に換算した金額を基に算出 |
※筆者作成
レシピエントとは、臓器の提供を受ける患者です。基本的に海外療養費制度では、日本で保険診療として適用されるもののみが対象となりますが、臓器移植で命に関わるような場合は例外として制度を利用できます。なお、全額払い戻しされるとは限りません。
海外旅行や海外出張などが決まっている場合は、体調をしっかり整え、不安がある場合は日本で医療機関を受診しておくことで、重大なトラブルを未然に防げる可能性が高くなります。
海外療養費制度を使えない場合もある?
海外療養費制度に申請していても、支給範囲外となるケースもあります。和歌山県後期高齢者医療広域連合「海外療養費|給付について」によると、以下のような医療行為は支給対象外となります。
・治療目的で渡航した場合
・美容整形
・予防接種、健康診断、検診
・患者が自ら購入した薬(医師の診断や処方に基づかないもの)
・日本で保険診療が認められていない治療や薬
・先進医療
・故意、けんか、泥酔、飲酒・無謀・無免許運転によるけが等の治療
・第三者の行為によるけが等の治療
例えば、近年は美容医療などのために旅行する方が増えていますが、これらの治療はすべて海外療養費制度の適応外です。
また、海外療養費制度が適用される医療行為であっても、海外の公的保険から医療費の支給が行われた場合や、支払いを行った翌日から2年以上経過している場合は支給を受けることができません。
海外療養費制度を受ける際は、日本において保険適用内の医療行為であるか、期限を過ぎていないかなどを確認したうえで申請しましょう。
海外療養費制度を利用するときに必要なものは?
海外療養費制度を利用する場合は、以下のような書類が必要です。
・療養費支給申請書
・診療内容明細書もしくは歯科診療内容明細書
・領収明細書
・診療内容明細書(歯科診療内容明細書)と領収明細書の日本語訳(翻訳者の住所や氏名、連絡先の確認ができるもの)
・領収書の原本
・同意書
・出入国印が押してあるパスポートのコピー
・健康保険証
・印鑑
・振込先の口座など
療養費支給申請書や診療明細書などのテンプレートは、加入している保険組合や市国保のホームページ、区役所窓口で入手できます。審査は数ヶ月かかると言われているため、申請は早めに済ませることをおすすめします。
海外療養費制度を利用したい場合は、加入している健康保険組合に申請しよう
海外療養費制度は、海外の病院を受診し、日本で保険適用となる治療などを行った際に、一部費用が戻ってくるという制度です。利用したい場合は加入している健康保険組合に申請し、審査に通れば費用が返ってきます。
ただし、美容整形や日本で認められていない薬代などに関しては、海外療養費制度の対象外です。また、海外療養費制度を受けられる対象期間は、支払いの翌日から2年以内となるため、早めの申請がおすすめです。
健康保険組合によって必要な書類が異なる可能性があります。ホームページで確認したうえで必要な書類などのダウンロードまで行えば、スムーズに申請を行えるでしょう。
出典
和歌山県後期高齢者医療広域連合 海外療養費|給付について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
