来年から「私立高校の授業料無償化」が実施されるけど、公立より支援金が“最大28万円”も多いと聞いてビックリ! それなら私立に進学したほうがおトクなの?「見落としがちなポイント」もあわせて解説

配信日: 2025.06.26 更新日: 2025.09.26
この記事は約 3 分で読めます。
来年から「私立高校の授業料無償化」が実施されるけど、公立より支援金が“最大28万円”も多いと聞いてビックリ! それなら私立に進学したほうがおトクなの?「見落としがちなポイント」もあわせて解説
高校受験を控える子どもを持つ親にとって、教育費の負担は大きな悩みですよね。当然、高校の授業料無償化のニュースにも敏感になることと思います。しかも、2025年度に拡充された「私立高校の授業料支援制度」は公立高校の支援金に比べて約28万円も多いとなると、「私立高校に進学したほうが断然おトクなのでは?」と感じるのも無理はありません。
 
しかし、支援金の多さだけに惑わされてしまうと「こんなはずじゃなかった!」と後悔するかもしれません。
 
本記事では、2025年度から拡充されている高校の授業料無償化について、公立高校と私立高校の支援金の違い、そして見落としがちな「授業料以外の費用」について、具体的な数字を交えながら解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

授業料無償化の基本をおさらい! なぜ私立高校は支援が多いの?

まず、高校の授業料無償化制度の基本的な仕組みを見ていきましょう。この制度は「高等学校等就学支援金制度」といい、家庭の教育費負担を軽減するために国が授業料の一部または全部を支援するものです。
 
基本的な支援額は公立高校の授業料相当額である年額11万8800円で、公立・私立を問いません。現時点では年収910万円未満の世帯のみが対象になる所得制限がありますが、今年度は年収910万円以上の世帯には「高校生等臨時支援金」という同額の支援が受けられるようになりました。
 
さらに来年度からは所得制限の撤廃が検討されているため、来年度以降は世帯年収に関わらず高校等に通う学生であれば支援対象となる見込みです。
 
そして、今回の疑問のポイントである「私立高校の支援金が多い」という部分ですが、対象になるのは年収約590万円未満の世帯です。この所得層の世帯については、私立高校等に通う場合に支援額が加算され、最大で年額39万6000円が支給されます。
 
同じ年収層でも公立高校に通う場合の支援額は11万8800円と、その差は最大で27万7200円です。私立高校の平均的な授業料を考慮してのことですが、この金額を見れば「私立高校のほうが支援金が手厚い」と感じるのは当然と言えるでしょう。
 

支援だけでは足りない? 私立高校の授業料はどれくらいかかるのか

ただし、いくら支援が手厚いとは言え、支援額を超える授業料は自己負担になる点に注意が必要です。
 
基本的な支援額である年額11万8800円は公立高校の授業料相当額であることから、公立高校に進学した場合は、授業料については自己負担がほぼゼロになります。
 
一方、文部科学省の調査(令和6年度)によると、私立高校の年間授業料の平均は45万7331円です。年収約590万円未満の世帯が最大である39万6000円の支援を受けたとしても、以下のように約6万円は自己負担する必要があります。
 
私立高校の平均授業料45万7331円 - 就学支援金39万6000円 = 6万1331円
 

見落としがちな「授業料以外の費用」 私立高校はここにも注意!

さらに、授業料以外の費用についても、私立高校は公立高校に比べて負担が大きくなりがちです。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、入学金は公立高校が1万8062円であるのに対して私立高校は7万9056円と6万円以上の差があります。
 
また、学校納付金等は公立高校の3万5635円に対して私立高校が11万2256円と7万6000円以上多くなっています。そのほか、修学旅行費や通学関係費などについても、私立高校のほうが全体的に費用がかかる傾向があります(図表1)。
 
図表1

図表1

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査より筆者作成
 

支援金の手厚さだけにとらわれない進学先選びが大切

2026年度からの授業料無償化の拡充により、私立高校についても支援が手厚くなることは確かです。とくに年収約590万円未満の世帯にとっては、公立高校よりも最大で約28万円多く支援を受けられる可能性があります。
 
ただし、私立高校では支援金を上回る授業料がかかるケースもあり、さらに入学金や学校納付金など、授業料以外の費用負担も見逃せません。
 
「支援金が多い=おトク」と一概には言えず、最終的には家庭全体の教育方針や家計の見通し、子どもの希望をふまえて、進学先は慎重に選ぶことが大切です。
 

出典

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問