実家住まいで「月3万円」を生活費として払う娘。「貯金はぜんぜんない」とのことですが、親として生活費を貯めておくべきでしょうか? 1人暮らしとの“費用差”も比較
一般的に、実家暮らしは一人暮らしに比べて生活コストが抑えられるものですが、生活にかかる負担額が少ないにもかかわらず貯金ができないという状況に、疑問を感じる人もいるかもしれません。このような場合、子どもの将来を考えて、親が生活費を貯めておくべきなのでしょうか。
本記事では単身世帯の支出の平均額と、実家に入れるお金の平均額について解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
目次
実家暮らしは本当に節約になる? 単身世帯との支出差を比較
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2024年」によると、一人暮らしの場合の主な支出の平均は、住居費約2万3000円を含めて16万9547円であるとのことです。しかし、この家計調査の「住居費」は持ち家も含めた金額となっており、一人暮らしをした場合の家賃が5万円~8万円以上かかることも珍しくありません。
つまり、一人暮らしをした場合のコストがおよそ20万円近くかかることを考えると、月に3万円の生活費のみの支払いで済んでいる実家暮らしは金銭的に余裕があることが考えられます。しかし、いくら生活にかかるコストが低くても、本人が収入に見合った生活を送っていなければ、貯金ができないということもあるでしょう。
このように「実家に住んでいるのに貯金がない」という状況は、家計管理の甘さが表れている可能性もあるため、一度生活スタイルを見直す必要があるかもしれません。
実家に入れる生活費の平均は?「月3万円」は多い?少ない?
社会人の子どもが生活費として実家に入れるお金の平均はいくらなのでしょうか。保険マンモス株式会社が実家暮らしの男女500人を対象にした調査によると、毎月生活費として実家に入れている金額の平均は、20歳~30歳でおよそ3万3000円程度であることがわかりました。
この調査を踏まえると、実家に生活費として入れる金額が3万円であるのは妥当であり、決して大きい金額ではありません。本人の収入にもよりますが、3万円を家計に入れることで、残りの生活費を圧迫することは考えにくく、ある程度の貯金も難しくはないと考えられるでしょう。
「貯金ゼロ」は将来が心配……生活費を親が貯めておくのはアリ?
一般的に実家暮らしの場合は、一人暮らしと比べて、生活費の負担が少ないので金銭的な余裕が生まれることが多いでしょう。
しかし本人に貯金の習慣がない場合、親から貯金をするよう促してもなかなかうまくいかないこともあるかもしれません。このような場合、親が預かった生活費を本人に内緒で貯金しておくべきなのでしょうか。
「親が受け取った生活費を貯金に回し、将来的に子どもに渡す」という、いわば「強制貯金」のような形をとる方法は、確実に貯金をすることができるという点が最大のメリットです。
子どもには内緒にしているので、子どもがその貯金を当てにして無駄遣いをすることもないでしょう。このように貯金したお金を子どもの就職・結婚・独立などの節目に渡せば、親心としても安心感があります。
しかし成人した子どものお金をいつまでも親が管理するのは、子どもが「ちゃんと家にお金を入れている」という自覚を持ちづらく、適切な金銭感覚も育ちにくくなってしまうというデメリットもあります。
親子で考える「実家暮らし」のお金の使い方と備え方
一般的に実家暮らしは生活費の負担が少なく、金銭的なメリットが大きいため、貯金ができていない場合は、収入に対する支出を見直すことが必要でしょう。子どもに貯金の習慣がない場合は、親がその生活費として受け取った中から貯金をすることも有効な手段のひとつです。
しかし、「いつまでもあると思うな親と金」ということわざにもあるように、子ども自身が自分の収入と支出を把握し、適正な金銭感覚を身につけていくことも子どもの将来においてとても大切です。
親子で話し合いながら「どれだけの金額を生活費に充て、どれだけを貯蓄に回すか」を一緒に計画し、本人の金銭感覚を育てることも、長い目で見れば大切な親の役目といえるのかもしれません。
出典
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要
保険マンモス株式会社 実家暮らしの方へのアンケート(自社調べ)(PR TIMES)
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
